NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、第2回バイヨン中学校運動家の様子について。
めざせ、カンボジアらしい運動会!
1月、バイヨン中学校では第2回運動会が開催されました。
昨年の運動会の大興奮を再び!と、日本から沢山の支援者が駆けつけただけでなく、地域の教育関係者も多数招かれ、新競技も加わるとのことで、数週間前から楽しみにしていました。
当日まず驚いたのは、生徒全員がチームカラー別のお揃いのユニフォームを着ていることでした。
しかも、胸にはバイヨン中学校のロゴ入り、背には学校名入り。
貧しい農村地域の子どもたちですが、学校教育への参加・協力の意識を保護者に持ってもらうため、校長は敢えてユニフォームを揃えるよう、全員に指示を出したとのこと。
さらに余裕のある家庭には賞品用のジュースや水などの寄付を募り、手作り感溢れる会場設営も皆で行い、準備万端。
…と思いきや、朝7時、開始を待つ生徒たちが整列して所定の位置に着くも、いつまでたっても始まる気配がありません。
なぜ?と尋ねると、来賓の教育関係者が揃っていないから、と。
ああ、のっけからカンボジアスタイル! ここカンボジアでは、来賓が揃わないまま開始するのは大変失礼なこと。
時間厳守より大切なマナーなのですね。
こうして始まった運動会。まずは入場行進です。生徒たちは、大きく手と足を振り、満面の笑顔でどこか誇らしげ。
観客に見守られながら皆で揃っての行進は、人気種目の一つです。
その後、18種目の競技へと続きましたが、よく見てみると、昨年卒業したはずの生徒が同じユニフォームを着て競技に参加しています。
さらに、今年度始業直前に役人試験に受かって中学校教師を辞めた先生まで、運動場に出て笑顔で見学?指導?していました!
昨年の運動会がよほど楽しかったのでしょうが、日本ではあり得ない! 驚きとともに、暖かい気持ちにもなりました。
まさにカンボジアらしい寛容さ。
今後、年一度の運動会が、バイヨン中学校の同窓会、地域の人々も楽しみに集まるホームカミングデーとなるのでしょうか…。
(この記事は2017年6月に発行されたNyoNuym88号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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過去の記事
21:近くて遠いアンコール遺跡
22:バイヨン中学校の養殖プロジェクト
23:お菓子をめぐる歴史ロマン
24:どうなる?バイヨン中学校完成式典
25:半年後、道は開けるか?
26:クメールの源流をたどり、スリランカへ
27:初めてのクーラー
28:アンコール・ワットの珍味
29:真夜中のアンコール・ワット
30:進化するバイヨン中学校
31:めざせ、カンボジアらしい運動会!
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