NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、未来の女子サッカーカンボジア代表チームについて。
ロムドゥールカンボジア誕生か?
昨年、バイヨン中学校で行われた初めての運動会で、「目標に向かって皆で協力し、挑戦する」喜びや楽しさに目覚めた生徒たちですが、今年は女子サッカー部も結成され、2月に行われた州大会では、初出場でなんと優勝を勝ち取りました!
ところで、そのサッカー部の練習時間は、1日のうち最も暑い時間帯の午後2時~4時。
元気だなぁ、と見ていると、驚いたことに練習は男女混合、しかも女子の大半は裸足でした。
スパイクを購入できるほどの経済的余裕はどの生徒の家庭にもないでしょうし、靴を履くくらいなら裸足の方が動きやすいのでしょうが、裸足で校庭を駆け回り、裸足でボールを蹴り、スパイクを履いている男子生徒をものともせず、対等に練習を続けている姿は衝撃的でもありました。
そして、今年4月、シェムリアップにサッカー日本代表の本田圭佑選手が経営に関わるプロサッカーチーム「ソルティーロ・アンコールFC」が誕生したのをきっかけに、専属の日本人コーチが、バイヨン中学校で不定期にサッカー指導をしてくださることになりました。
初回は基本的な練習を行っただけなのですが、それまで眠っていた野生の本能が目覚めた、とでもいうのでしょうか、ボールを追いかける女子生徒たちからは、内に秘められた戦いのオーラが静かに湧き出ているのが印象的でした。
しかも、さっきまで笑顔がカワイイ普通の中学生だったのに……。その得体の知れないギャップに驚くばかり。
この戸惑いを日本人コーチに伝えたところ、日本女子サッカー代表の“なでしこジャパン”メンバーからも同様の印象を受けるとのこと。
さらに、「いや、カンボジアのこの子たちの方が凄いかもしれない」と。
う~ん、これは今後、飛躍的に伸びる可能性があるってこと? ということは、“なでしこジャパン”ならぬ“ロムドゥール(カンボジアの国花)カンボジア”が活躍する日も夢ではないかも? と、勝手な妄想を膨らませているところです。
(この記事は2017年6月に発行されたNyoNuym89号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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22:バイヨン中学校の養殖プロジェクト
23:お菓子をめぐる歴史ロマン
24:どうなる?バイヨン中学校完成式典
25:半年後、道は開けるか?
26:クメールの源流をたどり、スリランカへ
27:初めてのクーラー
28:アンコール・ワットの珍味
29:真夜中のアンコール・ワット
30:進化するバイヨン中学校
31:めざせ、カンボジアらしい運動会!
32:ロムドゥールカンボジア誕生か?
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