NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、バイヨン中学校に通う学生たちの放課後について。
村の中学生たちの日常
毎年、200人ほどの生徒が入学してくるバイヨン中学校ですが、3年間で1割以上の生徒が退学していきます。
卒業まであと2~3ヵ月という時期に退学する生徒もいて、そのようなケースでは、大抵、親が抱えるローン返済のために直ちに働かなければならない、という切羽詰まった状況に追い込まれています。
そこまで至らなくても、ほとんどの生徒は、家では家事全般を任され、また、外で働いて賃金収入を得ながら学校に通っています。
アンコール遺跡群に近いことから、遺跡内でのお土産屋や飲食屋台での仕事に就いている生徒も多く、また、観光客向けのブレスレットなどを内職として家でつくり、そのわずかな利益で生活している生徒もいます。
シェムリアップ中心部にあるナイトマーケットで夕方5時から夜11時まで働いている女子生徒の場合は、朝7時~昼12時は学校、帰宅後は家の手伝いをし、夕方はバイクで片道30分かけて職場まで通う、という生活。就寝は夜中の1時すぎとなり、朝6時には起床する毎日だそうです。
放課後、耕運機で田畑を耕す請負業をしている男子生徒の場合は、
「毎日、炎天下での肉体労働で、暗くなるまで働くのは疲れるし、楽しい仕事ではないのですが、僕の家はこの仕事で得られる収入で成り立っているので働かなくてはなりません」
とのこと。
つらさをにじませていましたが、
「機械を直したり、使ったりすることが好きなので、将来はエンジニアになりたい」
と目を輝かせながら語っていたのが印象的でした。
中学生を取り巻く環境の、日本とのあまりの違いに愕然としますが、彼らは、学校で学べること、毎日友達と会えることに喜びを感じ、いつもにこやかに、学校生活を心から謳歌しているように見えます。
苦難でさえも軽々と乗り越え、見ている側をも清々しい気持ちにさせてくれる…。
そんな、生活力“半端ない”彼らの将来はいかに。数年後が楽しみです。
(この記事は2019年6月に発行されたNyoNuym101号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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35:子供向け水環境絵本で学ぼう!
36:教師不足解消への道?
37:次は文化祭!
38:4人目の勤続10年スタッフ
39:#cafemoimoi で繋がる輪
40:ノンちゃんはトリリンガル
41:粋なお福分け
42:魅惑のカンボジア発酵魚料理
43:NyoNyumとカンボジアと私
44:村の中学生たちの日常
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