NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、やむを得ず中退した学生のその後について。
中学校退学者のその後
バイヨン中学校では、退学を申し出た生徒に対して、なんとか思いとどまるよう本人だけでなく保護者にも説得を行っています。
しかし、最近は村の誰もが、気軽にマイクロファイナンスで多額の融資を受け、結果、返済に苦慮し、両親が借りたローン返済のために学校を辞めざるを得ない生徒が続出しています。
そもそも、中学生の親たちは、小学校に通ったことがないか低学年で辞めている世代で、識字率は1割ほど。
どの程度金利というものを理解し、契約書にサインをしているのか疑問に思いますが、借り始めの時期は皆、これで大きな家が建てられるなどと大満足なので、傍から何を言っても全く耳を貸しません。
とばっちりを受けるのは、そのために中学校を退学せざるを得ない子供たちです。
退学者はその後、どうしているのかと気になっていましたが、先日、町の電気店で働いている、退学間もない少女2人に出会いました。
辞めた理由は、一人はやはり親が借りたローン返済のためで、田畑を売っても返済できず、結果、彼女も働くことになったとのこと。
もう一人は日曜だけアルバイトをしていた遺跡の屋台が閉店したため、常勤の現在の電気店に勤めることになったからでした。
それまでの稼ぎは月10ドルほど。
その月10ドルがないために、中学3年生の卒業間近で退学せざるを得なかったとは!
現在の2人の月給は125ドルで、そのうち100ドル以上を家に入れ、残り25ドル弱で生活しているそうです。
しかも休みは月1日のみ。
2人とも運動が得意で、バイヨン中学校時代は、サッカーのゴールキーパーだったり、運動会で活躍したり…。
将来の夢は、小学校の先生と警察官とのことですが、もう、彼女たちの夢は叶うことはないのでしょうか。
1か月後に再び会いに行ったところ、猛暑の中、汗を流しながら働く2人は以前よりだいぶ痩せ、何はともあれ健康だけには気を付けて!と願うしかありませんでした。
(この記事は2019年8月に発行されたNyoNuym102号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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37:次は文化祭!
38:4人目の勤続10年スタッフ
39:#cafemoimoi で繋がる輪
40:ノンちゃんはトリリンガル
41:粋なお福分け
42:魅惑のカンボジア発酵魚料理
43:NyoNyumとカンボジアと私
44:村の中学生たちの日常
45:中学校退学者のその後
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