NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、バイヨン中学校の隣に高校を設立することについて。
バイヨン高校がほしい!
2013年10月にバイヨン中学校を創設して丸6年が経ちました。
中学校卒業後、これまでの高校進学者は、シェムリアップ市中心部にある2つの高校に振り分けられていましたが、自転車で片道1時間以上かかり、バイクだとガソリン代が1日1ドルはかかる距離。
進学者の半数ほどは学校に通いきれずに退学していました。
そしていつからでしょうか、生徒たちは
「バイヨン高校をつくってください!」
と、校長に直談判するようになりました。
家から近いこと、絆が深まった友達や先生方と別れたくないのはもちろん、生活指導と規律が行き届いたバイヨン中学校での生活は生徒たちにとっても快適だったようで、この理想的な環境の中でさらに勉学に励みたいと切望しています。
校長も、これまで何度も高校併設を検討してきましたが、中学校教師でさえ教育省から十分に派遣されない現実を考えると、高校併設など夢のまた夢。
毎年、生徒たちの言葉に心を動かされつつも、あきらめざるを得ない結果となっていました。
そして今年5月、校長は、再度、州教育局に高校併設の打診をしました。
が、やはり、農村部に赴任する教師がいないという理由で実現は難しいとされ、
「もし高校を併設するなら自力で教師を集めてほしい」
とまで言われてしまい断念。
しかし卒業式を迎えたこの時期、ここまで育てた生徒たちが一人でも多く高校進学の道を選んでほしいと、今年11月の新年度に向けて、校長は高校併設をあらためて決意し、教育省へ提出する申請書作成に取り掛かったのでした。
中学校を創設した以上、また生徒の熱い思いと校長の決意がある以上、私もできるかぎりバックアップしていきたいと思っています。
しかし、教育省の後押しがない中、果たして今年11月にバイヨン高校は設立できるのでしょうか?
教師は派遣されるのでしょうか?
その後の運営はいかに?
……前途多難、手探り状態の学校運営はまだまだ続きそうです。
(この記事は2019年10月に発行されたNyoNuym103号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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38:4人目の勤続10年スタッフ
39:#cafemoimoi で繋がる輪
40:ノンちゃんはトリリンガル
41:粋なお福分け
42:魅惑のカンボジア発酵魚料理
43:NyoNyumとカンボジアと私
44:村の中学生たちの日常
45:中学校退学者のその後
46:バイヨン高校がほしい!
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