NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリァップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、のどかな村の実体と、新しい取り組みについて。
村の給食プロジェクト
一見、のどかで平和に見えるアンコール・クラウ村も、何度か足を運ぶうちにその実態が見えてくるようになりました。賭博と酒にはまった大人たち、子供が工事現場で働いて家族全員を支えている家庭など・・・。
村の子供の中には、寄生虫でお腹がパンパンに膨れている子や、慢性的な栄養不良で髪の毛が退色している子もいます。どう見ても小学校低学年にしか見えない体格なのに、年齢を聞いて見ると12~15歳という答えが返ってきて、驚くこともしばしば。
いったい、カンボジアの農村部の子供たちの発育状況はどの程度なのでしょうか?手始めに、アンコール・クラウ小学校の4年生を対象に体重と身長を測り、日本の子供の平均と比べてみることにしました。
とはいえ、一筋縄ではいかないものですね。1人1人の体重と身長を測りながら年齢を聞いてみると、小学4年生とはいっても、9~16歳までと、年齢に7歳もの幅があることがわかりました。カンボジアでは留年する生徒も多いのです。
結局、一番人数の多かった14歳(日本の13歳)の平均値を計算してみたのですが、なんと、男女ともに身長は20センチ以上低く、体重は20キロ以上軽いという結果が出てきたのでした!
さらに、子供たちに朝食について聞いて見ると、朝食を食べることができるのは、おおよそ4人に1人。その内容はというと、晩の残りの冷や飯に水をかけて・・・というのが最も一般的だったのです。
栄養的に偏りがあり、いつもお腹をすかせている村の子供たちに対して、何かできることはないだろうか・・・。こうして始まったのが、村の高校生が中心となって実施する給食プロジェクトです。
普段、村ではめったに食べることができない鶏肉と野菜がたっぷり入った雑炊を何杯もおかわりできるとあって、子供たちは大喜び。村の青年たちにも責任感と団結力が芽生えるようになりました。
(この記事は2012年12月に発行されたNyoNuym62号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリァップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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1:マンゴーの季節
2:南の国の大きな森での車座会議
3:遺跡修復プロフェッショナル一家
4:新鮮な出会い
5:村の給食プロジェクト
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