(日本語) Moi Moi ライフ #50 サイクリングブーム
(日本語) Moi Moi ライフ #50 サイクリングブーム
2020.06.17

NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)

シェムリァップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。

今回は、最近シェムリアップで流行っている”サイクリングブーム”を紹介します。

 

サイクリングブーム

カンボジア国内での新型コロナウイルス感染不安がやや収まり始めた4月初め、シェムリアップでは、アンコール・トム王宮前広場やアンコール・ワット環濠周辺などで、ピクニックやバドミントンなどを楽しむ家族連れや若者たちが増えてきました。

さらに、クメール正月が終わり、他州間の移動禁止令が解かれた後は、夕方になるとアンコール・トム南大門を出入りする車両の長い行列ができ、遺跡警察による交通整理が行われるほどとなりました。

特に最近多く見られるようになったのは、仲間たちとマウンテンバイクに乗る老若男女。

サイクリングスーツを着ている人も多く、皆、格好はかなり本格的で、特にアンコール遺跡大回りコースの舗装道路は快適なサイクリングコースとなっているようです。

また、アンコール・トム外周壁上の小道も人気で、どこまでも続く森と環濠の雄大な風景を見下ろしながらの一周12キロのコースは爽快そのものに違いありません。

こうして、それぞれのスタイルで遺跡を楽しむカンボジアの人々の姿は、20年前には考えられなかった光景です。

カンボジアの学校では、今でも遠足や社会見学会といった活動がないため、子供たちは遺跡に触れる機会が全くといってもいいほどない状況ですが、思い返せば、アンコール遺跡群が世界文化遺産として登録され、観光地として注目され始めた2000年代以降も、カンボジアの人々は遺跡どころではない生活を送っていたのですね。

アンコール遺跡群はいつも外国人観光客でにぎわっていましたが、地元の人々は、観光客へのサービスを行う黒子の役割に徹していたということに、改めて気づかされました。

外国人観光客ゼロによる経済的ダメージは計り知れませんが、しばらくは地元住民が自分たちの祖先から受け継いだ遺産を独占して楽しんでほしいとも思う今日この頃です。

 

(この記事は2020年6月に発行されたNyoNuym107号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

 

コラムニスト: 小出 陽子(こいで・ようこ)

一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事

 

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39:#cafemoimoi で繋がる輪
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41:粋なお福分け
42:魅惑のカンボジア発酵魚料理
43:NyoNyumとカンボジアと私
44:村の中学生たちの日常
45:中学校退学者のその後
46:バイヨン高校がほしい!
47:バイヨン高校、ついに開校!
48:他国事(ひとごと)ながら
49:”パプリカ“歌って英語授業!

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