NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリァップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、最近シェムリアップで増え始めた”ある職業”について紹介します。
将来の夢はYouTuber!
バイヨン中学校の生徒たちに「大人になったら何になりたい?」と尋ねると、これまでは、学校の先生や医者・看護婦、警察官や軍人と答える生徒がほとんどでした。
村の子供たちが普段目にする働くオトナの職種は限られ、本やテレビにもほとんど触れる機会がないため、中学生といえども自分が育ってきた社会環境から一歩飛び出た発想を持つことはなかなか難しい、というのが実情でした。
そのような中、今年2月に行われた日本の学生たちとの交流会で、 「将来の夢はYouTuber!」と、目を輝かせながらアピールした生徒がいて、大いに盛り上がりました。
バイヨン中学校がある地域では、ここ1〜2年で家々に電気が通り、スマホを所有する家庭が増えるなど、生活環境の変化の波が押し寄せています。
それに伴って、村の外に出る機会がない子供たちでも、国外の子供たちと同じ情報や感性を共有し、個人で発信さえもできる世の中になってきたのですね。素晴らしいことです!
さらに、新型コロナウイルスのパンデミックによって、シェムリア ップは外国人観光客ゼロの状態が続き、観光業で支えられていた市民の生活が足元から揺らぐ事態に陥ってからは私のまわりでも次々と
YouTuber が誕生しています。
アンコール遺跡を案内する動画を発信する遺跡ガイドをはじめ、アンコール・トム遺跡内の猿集団の様子を紹介する動画や、自転車や、トゥクトゥクでシェムリアップの町を案内する動画などを見かけるようになりました。
中にはそれなりの広告収入を得ているYouTuber もいるようです。
こうなってくると、先の中学生の夢も近いうちに実現するかもしれませんね。
村でのスマホ普及の先に広がる世界は、今の私たちの想像をはるかに超えた光景となりそうです。
(この記事は2020年8月に発行されたNyoNuym108号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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39:#cafemoimoi で繋がる輪
40:ノンちゃんはトリリンガル
41:粋なお福分け
42:魅惑のカンボジア発酵魚料理
43:NyoNyumとカンボジアと私
44:村の中学生たちの日常
45:中学校退学者のその後
46:バイヨン高校がほしい!
47:バイヨン高校、ついに開校!
48:他国事(ひとごと)ながら
49:”パプリカ“歌って英語授業!
50:”サイクリングブーム
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