(日本語) Moi Moi ライフ #53 Cafe Moi Moi コロナ禍で一時休業へ
(日本語) Moi Moi ライフ #53 Cafe Moi Moi コロナ禍で一時休業へ
2020.12.22

NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)

シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。

今回は、コロナ禍によるCafe Moi Moiの一時休業について。

 

Cafe Moi Moi コロナ禍で一時休業へ

これまで観光業で支えられていたシェムリアップは、新型コロナパンデミックによって一変しました。

大型ホテルからゲストハウスまで宿泊業はほぼ休業状態。

パブストリート周辺はシャ ッター街と化し、飲食・土産物店は経営困難に陥っています。

また観光ガイドやドライバーも仕事がなくなり、一部は宅配運転手に転じている人もいるようですが
、その需要には限界がありそうです。

私が経営するレストランでも、時間短縮を行い、スタッフを隔日出勤にするなど対策を行ってきました。

しかし、今年度の団体客の予約はどれも実施の見込みが低く、さらに、以前の水準にまで観光客が戻るのは早くて2〜3年先、ということが見え始めた数カ月前から、一時休業を真剣に考えるようになりました。

しかし、気がかりはスタッフたちの今後です。現在8人いるスタッフのうち5人は勤続10年〜15年と長く、ここまで愛着をもって店を切り盛りし、信頼できるスタッフがいたからこその飲食店経営でした。

今後、スタッフやその家族が路頭に迷うことはあってはならないですし、私自身としても、15年間苦楽を共にした彼女たちに感謝の気持ちを伝えたい。

…こう考えた末、夫が保有している村の農地を分割して彼女たちに譲渡することにしました。

なんだか戦国時代みたいですね(笑) 。

でも、カンボジアでは雇い主が雇用者に土地を分ける、ということはたまにある方法のようです。

土地があれば家庭菜園も可能ですし、何か商売もできるかもしれません。

何よりも、10年以上家族のように、いや家族以上に長い時間を共有してきた仲間同士、これからも仲良く暮らしてい ってもらえれば、とても嬉しいことだなぁと思いました。

スタッフたちがその土地をどのように使うか…、それもひそかな楽しみです。

そして、何カ月、いや何年先になるかわかりませんが、また皆様にお会いできるときを楽しみにしています。

15年間の感謝を込めて。

(この記事は2020年12月に発行されたNyoNuym110号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

 

コラムニスト: 小出 陽子(こいで・ようこ)

一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事

 

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過去の記事

38:4人目の勤続10年スタッフ
39:#cafemoimoi で繋がる輪
40:ノンちゃんはトリリンガル
41:粋なお福分け
42:魅惑のカンボジア発酵魚料理
43:NyoNyumとカンボジアと私
44:村の中学生たちの日常
45:中学校退学者のその後
46:バイヨン高校がほしい!
47:バイヨン高校、ついに開校!
48:他国事(ひとごと)ながら
49:”パプリカ“歌って英語授業!
50:”サイクリングブーム
51:将来の夢はYouTuber!
52:ナーガ・シンハ彫像修復プロジ ェクト終了!

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