Moi Moi ライフ #57 "一家に一農園"ブーム到来?
Moi Moi ライフ #57 "一家に一農園"ブーム到来?
2021.08.30

NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)

シェムリアップで暮らす小出陽子さん。NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。

今回は、「"一家に一農園"ブーム到来?」について。

 

"一家に一農園"ブーム到来?

農園でスイカの収穫!

他州のことはわかりませんが、シェムリアップ市内に住む人々の間で、今、ブームとなっていること。

それは、郊外に自分の農園を持つことです。

狭くとも安い土地を買って開墾し、柵をつくり、井戸を掘って水を確保し、小さな小屋を建て、週末は家族や友達を呼んで、そこでのんびりと過ごすのです。

多くは市内で個人商売を営んでいる人々で、特にコロナ禍で商売を自粛せざるを得ない状況になってからは、自分の農園整備に没頭する人が多くなってきたように感じます。

中には、鶏や豚を飼い、有機肥料をつくって果樹や野菜を育てるなど、持続可能な生活を目指している人もいます。

FacebookなどのSNS上でも、農園の様子や、そこで楽しんでいる様子をアップする投稿が多くみられるようになってきました。

現在人気があるエリアは、バンテアイ・スレイ遺跡へ向かう道沿いで、家族用の小さな農園だけでなく、大規模な観光農園やホームステイができる宿泊型農園もつくられ、プノンペン方面からの都市住民の憩いの場ともなっているようです。

さらに先、アンコール時代の聖地・クーレン山の麓まで行くと、近い将来完成するシェムリァップ新国際空港に近いこともあり、広い土地を開拓して豪邸を建てているシェムリアップの富裕層もいます。

また、新型コロナウイルスから自分の子供を守るため、農園に本格的に住み始めた家族もいます。

バイヨン中高校があるエリアでも、遺跡保存地域ということで新しい建物の建設に強い規制がかかっ
ているにも関わらず、これまで市内に住んでいた家族が小さな土地を手に入れ、次々と移り住んでいるようです。

サイクリングだけでなく農園で静かに過ごすブームも起き始めたシェムリアップ。

コロナ禍をきっかけに、都市から郊外への動きがじわじわと進んでいます。

(この記事は2021年8月に発行されたNyoNuym114号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

 

コラムニスト: 小出 陽子(こいで・ようこ)

1992年早稲田大学大学院卒。一級建築士。2000年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のため、カンボジアに赴任。2005年シェムリァップにレストランCafe Moi Moiをオープンする(一時休業中)。同年JST(NGO:アンコール人材養成支援機構)を設立し、農村地域の支援活動を始める。2013年“アンコールの都の西北” に公立のバイヨン中学校を創設。2019年には高校も併設され、現在、全校生徒820人の学校運営を行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事

 

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38:4人目の勤続10年スタッフ
39:#cafemoimoi で繋がる輪
40:ノンちゃんはトリリンガル
41:粋なお福分け
42:魅惑のカンボジア発酵魚料理
43:NyoNyumとカンボジアと私
44:村の中学生たちの日常
45:中学校退学者のその後
46:バイヨン高校がほしい!
47:バイヨン高校、ついに開校!
48:他国事(ひとごと)ながら
49:”パプリカ“歌って英語授業!
50:”サイクリングブーム
51:将来の夢はYouTuber!
52:ナーガ・シンハ彫像修復プロジ ェクト終了!
53:Cafe Moi Moi コロナ禍で一時休業へ
54:バイヨン中高校先生方のコロナ禍副業
55:話し出したら止まらない“将来の夢!”
56:Moi Moi Farmでマンゴー狩り!

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