今月発行したNyoNyum106号の特集は、「起こせ!カンボジアの農業革命 ~カンボジア農業の秘めた可能性~」と題して、カンボジアで農業発展のために奮闘している方々を取材しました。
今回は取材を重ねるうちに、どんどん多くの方に伝えたい、知ってもらいたいことがたくさん出て盛りだくさんの内容になりました。
そこでWEB版では誌面では載せきれなかった部分をいくつか追記し、全6回で紹介したいと思います。
第2回目の今回はカンボジアで農作物を作り手と、買い手を繋ぐ役割を担っている方を紹介します。
前回の記事はこちら
作り手と買い手を繋ぐ立役者
安心・安全な食品を食べたい。
それは誰もが願うこと。
特にカンボジアでは、国外から輸入された農作物の農薬、化学肥料の使用に対して消費者が不安を抱える傾向が強く、近年は「国産」の農作物に信用が集まっています。
消費者のニーズに応えるために、生産者とともに汗を流している人たちがいます。どんな思いで日々の活動をしているのかに迫ります。
「農業をやっていて良かった」と思ってもらいたい
「農業にもカンボジアにも興味があったわけではないんです」。プノンペンのイオンモールで働く上畑育美さんはそう言う。
もともと、日本のイオンで衣料品担当だった彼女はある日、農産物売り場へ異動となった。
農家との取引をする中で、高齢化や消費量の減少、後継者不足といった問題を抱え、日本の農業が閉塞していると感じていた。
その解決策として、日本の農産物を世界のマーケットに届けられないか、そんなふうに思っていた。
その矢先、同社の研修制度で2016年の春からカンボジアに来ることになった。
ベトナムやマレーシアのイオンで見た「一般市民が当たり前のように買い物をするスーパー」とは違い、カンボジアの店舗では客はまだまだ外国人が中心で、カンボジア人は「眺めに」来ているだけ。
そんな状況を目の当たりにし、未開の地で働くことに興味を持った。
以来、カンボジアの農家から店舗で販売する農作物を集めるために奮闘する日々を送っている。

ミッションは、「カンボジア産」の農作物を作り手の顔が見える形で店頭に並べること。
当初はオーダーをしても決められた日に求める品質通りのものを納めてもらうことが難しかったが、現在では契約農家をとりまとめてきちんと納品をしてくれるサプライヤーとうまく連携がとれているという。
店舗では、政府機関や各種任意団体がラベリング、グレード分けした商品を陳列している。
たとえばカンボジアには、農林水産省が規定するCambodia Good Agricultural Practice(CamGAP)という農業生産工程の管理(農場運営、食品安全、環境保全、労働安全、人権・福祉)認証制度がある。
こういった基準に適合したものが売れるということがわかれば、農家は基準に対する意識を持ち、マーケットの需要を意識してより安心・安全な生産を心がけることが期待されている。
さらに、そのような付加価値により収入増、安定収入が得られるという事実は、農家のモチベーションにもつながる。
「作り手と買い手をつなぐ活動の中で、農家の方々が『農業は儲かるんだ』ということを知り、農業に励んでくれること。それが私の願いです」と、上畑さんは語る。
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