NyoNyum114号特集:①はじまりは、お給料 ~行政改革の一環として、公務員の給料を銀行振込へ~
NyoNyum114号特集:①はじまりは、お給料 ~行政改革の一環として、公務員の給料を銀行振込へ~
2021.09.29

現在カンボジア国内で配布中のカンボジア生活情報誌NyoNyum114号の特集では「カンボジアの電子決済(キャッシュレス)」について紹介しましたがそのWeb版も公開します。

 

電子決済(キャッシュレス)の世界

新型コロナの影響で、カンボジアではこれまで以上に電子決済サービスに注目が集まりました。

紙幣の受け渡しによる感染リスクを避けるため、QR コードによる電子決済は都市部ばかりでなく地方の各地域にも急速な広がりを見せています。

プノンペン都内にあるスーパーマーケットのレジには、銀行や電子マネーサービス、クレジットカード会社のロゴがずらりと並び、先進国に劣らんばかりの電子決済手段の多さ。

しかし、実は、カンボジアで銀行口座や電子決済サービスが普及し始めたのは、ここ10 年ほどのこと。

「銀行にお金を預けるよりもタンス貯金が一番安心!」

そんな考えが根強くあったこの国で、どのようにして電子決済が一般化してきたのか、近年の電子マネーのトレンド、人々がどのように暮らしの中で電子決済サービスを使っているのか、そして、銀行の最新サービスなどなど。

今号の特集では、目まぐるしく発展する、カンボジアの電子決済の世界をのぞいてみます。

 

はじまりは、お給料 ~行政改革の一環として、公務員の給料を銀行振込へ~

プノンペン都内の各銀行のATM 機が設置する場所が所々みえる

カンボジアでの、電子決済のシステム開発はこの10年間で大きく進歩した。

法人向けに始まった各銀行による電子決済サービスや、銀行間のキャッシュレス送金は、徐々に市民に普及し、クレジットカードやデビットカードの利用率は年々右肩上がり。

中でも特に利用者が多い都市部においては、電子決済への注目度がここ最近一段と伸びている。

そんな驚くほどのスピードで全国に広がる電子決済の波だが、その流れを加速させたのは、2014年にカンボジア政府が始めた銀行口座への給料振込制度。

行政改革の一環として行われたこの制度であるが、この決定により、銀行口座の開設と利用者が増え、全国各地にATM が設置され始めた。

全国の公務員がスムーズに給料を受け取れるように、政府は2013年末に、国内で人気が高い金融機関であるカナディア銀行と ACLEDA 銀行、送金サービス大手のWing と協定を交わした。

しかし、地方に暮らす公務員の多くはこれまで銀行口座を保有しておらず、口座開設にハードルを感じた人々も多かった。

そのため、個々が銀行へ行って手続きを行う必要をなくし、所属部署において口座開設手続きを代行、通帳だけを身近な銀行の店舗へ取りに行くケースが多くあったそうだ。

このように、公務員の給与支給方法の一斉切り替えが進んだ一方、地方公務員の中には振り込まれた給料をATM ですべて一度に現金化する人も多く、「紙幣依存の傾向はまだまだ強い」といった報告もカンボジア中央銀行から上がっている。

 

カナディア銀行

カナディア銀行は1991年にカンボジアとカナダ、カンボジア国立銀行の合弁会社として設立された。

1993年には商業銀行として認可。カンボジアで最も利用者数が多い銀行の一つである。

現在、約160以上のATMがあり、公務員が給料を受け取るための銀行としてもよく知られている。

 

ACLEDA 銀行

ACLEDA 銀行は、全国で店舗とATM 数が最も多い。首都プノンペンと各州すべてを合わせると、ATMは約790 台。

銀行店舗に加え、ショッピングモール、大学、ホテル、会社などとの連携が、全国最大のATM ネットワークを持つ理由。

地方に暮らす人々に人気が高く、ほとんどの州、そしてあらゆる地域で店舗を見かける。

 

WING

ウィングは、カンボジアで早々に電子マネーサービスを始めた会社。

以前はちょっとしたお金を田舎に送るにもタクシー運転手にお金を預けて送っていたが、相手先の携帯電話番号があれば簡単に送金ができ、全国各地にサービス拠点を広げたことで一気に全国的に広まった。

個人向けサービスのほかにも、ビジネス用では給与処理、E コマースの決済などができ、便利性も高まっている。

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