NyoNyum118号特集:①私のペット自慢!~カンボジア人のペット意識調査~
NyoNyum118号特集:①私のペット自慢!~カンボジア人のペット意識調査~
2022.05.25

現在カンボジア国内で配布中のカンボジア生活情報誌NyoNyum118号の特集では、「カンボジア最新ペット事情」について紹介しましたが、Web版も公開します。

 

「カンボジア最新ペット事情

コロナ禍で生活や行動に制限がある中でも、プノンペンの街ではペットを連れた飼い主が公園などの公共の場を歩いたり、バイクや車に乗っているのを見かけます。

夜間外出禁止、集会や飲食店営業時間の制限、そしてロックダウンといった数々の措置が取られてきたが、プノンペンのペットをめぐる環境にはどのような影響があったのでしょう?

元来、クメール社会には古くからペットを飼育する文化があります。じゃれて遊ぶということだけでなく、猫や犬は家を守るという考えも。犬が番犬として重宝されるのはもちろん、猫はネズミから食糧を守ってくれるのです。

経済が発展し、人々の生活が多様化する中、ペットに対する意識も変わりつつあります。血統書付きの犬や猫を外国から取り寄せたり、ペットを「家族」として迎え入れ、大切に育てる人も出てきているよう。これに合わせて、動物の保護や動物にまつわるサービスも多様化の傾向がみられます。

今回の特集では、昔ながらのお寺での野良犬、野良猫の世話はもとより、動物病院、トリマー、ペット・ペットグッズショップ、動物愛護といった団体まで、さまざまな角度から「ペット」を徹底研究してみました!

 

私のペット自慢!~カンボジア人のペット意識調査~

プノンペン都内を歩いていて、オートバイに愛犬を載せて走っている人の姿を見て驚いたことはありませんか?

コロナ渦にも拘らずプノンペン都内には車やオートバイに乗って移動中の愛犬の姿が見かけられます。彼らが向かう先は、リバーサイドや都内の公園など、散歩やジョギングができる風通しの良い開放的なところ。

プノンペンのボトム寺前の公園やリバーサイドで犬を連れて歩いている人や、そしてシェムリァップの知り合い、近所の猫を飼うお家やその他ペットを飼っている知り合いに、ペットに対する思いを聞いてみました。

 

~犬~

ポンポン 1 歳

ロン・チャンティーさん(22)
プノンペン:会社員

カンボジア人の生活が向上し、私だけでなく周りにもペットを飼う人が増えていると思います。休みの日にはリバーサイドや公園に犬を連れてくる人は多いです。犬を散歩させるためだけでなく、飼い主である私もストレス発散になるのと、他にも犬を連れてきている人がたくさんいるので、ポンポンも社交的になると思っています。自分にとって犬の存在は友達のようなものです。退屈なときには遊んでくれるし、いつでも寄り添ってくれて、とても頭が良くて飼いやすいです。でも、エサ代やケアにはお金と時間がかかりますね。時にはいたずらもしますが、犬だからと暴力を振るってはいけないと思います。動物への暴力を防止するための法律があるといいかもしれませんね。

 

ペプシー 3歳

チョン・セアンヒェンさん(22)
プノンペン:大学生

子供の時から動物が好きです。ペプシーは才能があるから、トレーニングには連れて行っていません。ちょっと何か教えてやったら、すぐ覚えてくれるんですよ! ペプシーは私の友人のような存在。よく遊んでくれるから学校のストレスを解消でき、いつも気分よくしてくれます。外から帰宅したら、真っ先にペプシーに会いたいです。ペプシーのシャワーも定期的にして、衛生面には気をつけています。この程度の面倒は自分にとってはまったく問題ありません。最近猫や犬をペットとして飼う人が増えていると思います。ペットも人間みたいに愛してやることが大切じゃないでしょうか。

 

チャリー 1 歳

ドーン・ピセイさん(37)
シェムリァップ:主婦

私の家では代々、一般のクメール犬を飼っています。番犬としてはもちろんのこと、可愛がりながら育ててきました。でも、親戚からもらい受けたチャリーは、外国の血統のある良い犬だと聞いています。今まで飼ってきた犬は何匹かいたけどチャリーみたいに甘えることがなかったので、新しいことばかりです。ちゃんとシャンプーをしたり、夜は犬泥棒に盗られないように檻の中で寝かせています。病気にかからないようワクチンも接種しています。エサは私たちの食べ残しのご飯とおかずが基本。人懐っこくて人間と遊ぶのが好きで、知らない人について行って数日間いなくなったこともありました。以来、常に目に入るところに置いて離さないようにしています。

 

~猫~

ミェオ 9 ヶ月

ヅン・ダーリーさん(23)
プノンペン:教師

子供の時から猫が好き。故郷でも猫を飼っていたけど、ネズミ捕り用に飼っていただけで、きちんと面倒を見ていませんでした。大学進学でプノンペンに引っ越してきて猫を飼い始め、世話をしているうちに猫の気持ちがわかるようになりました。今はこの大好きなミェオを大事にしています。それにしても、プノンペンでは猫をペットにして、お金をかけて世話をする人が多くてびっくりしています!

 

サンニー1 歳

イェプ・ヨンチーさん(20)
プノンペン:大学生

1 年前から猫を飼っています。飼い始めた理由は賢くて可愛いから。それに、家のネズミもしっかり捕ってくれるんですよ! 家族の一員として大切にしていて、病気の時には家族が協力してサンニーをクリニックに連れて行きます。勝手に外に出たり他人の家に入り込んだりするので、常に清潔にしなければならず世話は確かに大変です。特に近所に猫が嫌いな人もいますし。でも、忍耐強く面倒を見ています。動物愛護の法律ができれば、動物に危害を加えたりする人を減らし、皆がきちんと世話をするようになると思います。

 

ルナー1 歳

ユー・アフィリンさん(20)
プノンペン:大学生

子供の時から猫が大好きで、自転車のかごに載せて友達と遊びに連れて行っていました。この子は毛並みがきれいで、賢く、時に人の言うことがわかるようです。エサやりからシャワー、寝床の掃除までしっかりやっています。特にトイレのしつけはきちんと教えれば覚えてくれます。人と遊べるようにシャワーでいつもきれいにしています。ごはんは猫用のエサではなく、人間の残り物をあげているので金銭的な負担はあまりありません。

 

~魚~

ペット:ニシキゴイ

ノップ・カニカーさん(34)
シェムリァップ:主婦

新型コロナにより外出規制が発せられていた1 年ほど前、夫が仕事もなく手が空いていたため、雄のニシキゴイを1 匹280 ドルで2 匹購入しました。タイの品種のコイと繁殖させ、こんなに多くのコイが育ったんですよ。ちなみに水槽は約600ドル。コイのために1,000 ドル以上かけたのと、週に1 ~ 2 回水槽を洗いエアーポンプを一日中動かしておくこと以外は特に面倒なことはありません。コイの鮮やかな色がとても印象的で家の敷地内を彩ってくれるし、風水で良いと言われたので飼うのを決めたんです。

 

~うさぎ~

スルン・ソンユーさん(28)
プノンペン:会社員

大学に通っていたとき、お世話になった先生が飼っていたウサギを見て、その可愛さに魅了されて2013年に1 匹5 ドルの雄と雌のウサギを買いました。どんどん繁殖するので、2015 年からウサギをオンライン販売しています。ウサギは清潔な暮らしを好むので、環境をきれいに保つこと、新鮮な野菜をエサにするという手間があります。大学の専攻が農業で、動物の養殖関係の科目があったんです。その知識と研究を重ね、自分が大好きなウサギをペットとして飼いながら、繁殖して販売できるようになりました。

 

森の動物たちとともに

ステァン(鷹)はカンボジアに住む肉食の鳥。茶色の身体に薄い赤が混じり、尾は短く大きく、羽はとても大きい。

体重1.5kg、羽を広げると幅1.2m ほどになるステァンは、一度狙った獲物があるとその鋭いくちばしで一気に射止めます。

鷲と同じように時に獰猛な性格を持つステァンを飼う男性がいると聞いて、インタビューを試みました。

 

ヴァン・ヴァンナロットさん(41)はバッタンバン州に住む動物を愛する男性。森の動物を保護する活動をするかたわら、ステァンを守り後世の人々に知ってもらうことを目的に、2018 年から自らステァンを飼い始めた。現在はステァンだけでなく、フクロウなども飼っている。

ステァンの雛は6 月から12 月頃に手に入る。売買価格は品種や大きさによって70 ドルから380 ドル。ステァンは肉食なので、エサはひよこ、スズメ、ハト、ウズラ、ネズミなどをあげる。養殖の鶏肉でも大丈夫だ。いずれにしても、飼育には費用がかかるため、きちんとエサをやる自信がなければ買うのはお勧めしないとヴァンナロットさん。「エサを保存するために冷蔵庫を買いました。それから訓練のためのさまざまな道具や設備を整えるのにもお金がかかりますよ」

カンボジアでは、ステァンは獰猛で鶏やアヒルなどの家畜を襲うのであまり好まれない。「ステァンの飼い主は、彼らとの時間を十分にとれ、きちんと世話やしつけができることが条件だと思います。毎日訓練を行えば、言うことを聞くようになります。また、鳴き声がとてもうるさいので、家族や近所の人への配慮や周りからの理解が必要です」

ヴァンナロットさんのチームメンバー

最近、ステァンと一緒に森の中で狩猟を楽しめるようになってきたという。ステァンも種類やオス・メスによって性格や特徴が異なる。たとえばメスのステァンは遠方まで飛ぶことができ忍耐強い。一方のオスは体が小ぶりなので迅速で、出産時期のあるメスとは違い年中狩猟させることができる。

保護しながらステァンを飼育するために、ヴァンナロットさんはいろんな研究をしたという。YouTubeやウェブサイト、国内外のさまざまな資料を取り寄せ、またステァン飼育経験者からの話を聞き、日々経験を積み重ねた。「ステァンを守るために、私は将来きちんとした交配施設を作りたいと考えています。カンボジアの動物保護の一環になれたらいいなと思っています」

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