NyoNyum121号特集⑧:祭礼グッズ販売店を覗いてみよう
NyoNyum121号特集⑧:祭礼グッズ販売店を覗いてみよう
2022.12.01

現在、カンボジア国内で配布中のカンボジア生活情報誌NyoNyum121号の特集のWeb版です。

「クメール人の拠り所ー仏教の僧侶と寺の存在感とはー

「国家・宗教・国王」という国の標語に掲げられている通り、カンボジア人の90%が信仰する仏教(小乗仏教)は、君主や政府と並んで国家の最高機関の1つとされています。国王を含むカンボジア国民は、お坊さんを“サンマー・サンポット(仏陀)” の使徒であると信じており、古代から現在に至るまで僧侶は高い人格と深い知識を持ち、人々に仏教の教えを示す高貴な存在として敬っています。

カンボジア全土に多くの寺院が存在することも、仏教に対する強い信仰心を示しています。カンボジア
の人々がお坊さんを崇拝し、仏教を強く信じる理由に迫ります。

祭礼グッズ販売店を覗いてみよう

祭具販売店には、需要の高い「サダック」や「バーロン」、「トライ」、他の祭具が置いてある(バトゥーク高校手前のチェコ共和国通り沿いに祭具販売店が軒を連ねている)

大多数のカンボジア人は仏教を信仰しています。そのため、1年を通して節目節目で多くの祭礼を行っています。これらの祭礼を通して、お寺で先祖への供養をしたり、自分の来世の幸せを願って徳を積むために奉納をしたりします。このような伝統的、習慣的または宗教的な概念のもと、仏教を信仰しているカンボジア人に祭具を販売する店が全国に多数あります。そんな店の経営者にその仕事内容について教えてもらいました。

「Mom Mony 祭具販売店」の店主、スー・ソカーモニーさん

プノンペン都内のチェコ共和国通り沿いのバトゥーク高校周辺で「Mom Mony 祭具販売店」を経営しているスー・ソカーモニーさん(62歳)は、「三十何年も前に私がこの商売を始めようと思った理由は、代々家族が仏教を信仰していたため、いつもお寺へ参拝に行き、行く度に祭礼に欠かせない祭具のニーズを肌で実感したから」と教えてくれた。祭礼シーズンごとに需要があり、特に毎年7月から10月にかけて行われるティエンヴォッサー祭り(雨安居中にお寺に灯すろうそくを寄進する祭り)や、カテン祭り(雨安居が明けた10月半ばから11月半ば頃)、クメール正月(4月半ば)、プチュンバン(9月から10月頃)および寄進の儀式や葬式など、宗教的な祭礼がある時期によく売れるという。

祭具は、祭礼ごとの用途によって多くの種類がある。ソカーモニーさんは、「最も需要の高い品は「バーロン」と「サダック」と呼ばれるものです。これらのアイテムは季節と関係なくどの祭礼でも使用されるからです。「バーロン」はお寺で僧侶が日常生活をするうえで欠かせない雑貨を揃えたもので、その中身は皿、鍋、フライパン、スプーン、やかん、マット、枕、蚊帳、毛布など。バーロンは主に寄進の儀式や葬儀でお坊さんに献上される。

一方「サダック」は、飲み物、お茶、砂糖、練乳、線香、ろうそく、ペンや本などの詰め合わせ。サダックは、寄進の儀式、葬式、クメール正月、プチュンバンなどでお坊さんに捧げられる。また、「トライ」はカテン祭りのシーズンに準備されるもので、僧侶用のお召し物(スボンチーヴォ―)の一セットが入っている。

この商売を営むうえで長年大切にしていることは何かと尋ねてみると、ソカーモニーさんは「他の商売も同じだと思いますが、店のすべての商品に対する知識と品質管理が重要ですね。またお客様のニーズを理解することも必要だと思っています」と語った。

トライ

 

ティエンヴォッサー

ティエンヴォッサー祭りの時期になると寺に寄進する巨大なロウソクが店頭に登場する

 

サダック

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