NyoNyum125号特集④:工員たちの「行きつけ」のお店はどんなところ ?
NyoNyum125号特集④:工員たちの「行きつけ」のお店はどんなところ ?
2023.08.08

現在、カンボジア国内で配布中のカンボジア生活情報誌NyoNyum125号の特集のWeb版です。

 

「工場で働くということ~プノンペン周辺工場労働者の職と生活の現状あれこれ~

縫製業やアパレル業などで約90万人の労働者の仕事を生み出すカンボジア。全国1326の縫製工場のうち、727の工場がプノンペンにあり、約34万人の労働者が従事しています。

そんな首都プノンペン郊外の、特にチャオムチャウ町 (プノンペン国際空港の西南部エリア)には工場エリアが広がっています。若い労働者向けの借家や団地もあり、縫製業などに従事する工場労働者が生活しています。そのため、この地区にある工場周辺には日常生活に欠かせない品々や飲食店などがすらりと並び、いつも人々でにぎわっています。

主に地方から集まってくる労働者たちは、この環境でどんな生活を営んでいるのでしょうか。その実態の一角をご紹介します。

 

工員たちの「行きつけ」のお店はどんなところ?

工場労働者の給料は決して高くはありません。1ヶ月間働いて得たお金はしっかり切り詰めて仕送り、貯蓄、日々の生活費に回さなければならない。上手にやりくりしながら生活する彼らが通うお店のオーナーたちは、客である工員たちとどんなやりとりをしているのでしょう。

 

新鮮な野菜を安く売ります!「八百屋さん」

ナレットさんの野菜販売店

工場エリア付近の小さな市場で八百屋を営むフン・ナレットさん(41)。朝 7 時から正午までと午後 3 時から夜9時まで販売しているが、朝の時間帯には主に地元の主婦たちが、そして夕方の時間帯には工場労働者が買い物に来るという。他の市場と変わらない価格で、より新鮮なものを仕入れることを心がけている。「常に消費者のことを考え、リピートしてもらえる店」をモットーに、15年間この商売を続けている。

Q.どういう人がよく買ってくれるんですか。

多くは工場で働く労働者ですが、学生や地元の主婦も来ますよ。朝の時間帯には近くに住む人たちがよく買いに来てくれますが、午後は工員や学生が多いですね。

 

Q.価格や品質で心がけていることはありますか。

価格は他の市場とあまり変わらないと思います。大事なのは仕入れ価格です。安く仕入れられれば販売価格もそれなりに安くできます。品質も長年培った自分の目で見極めていますので、市場の店だからといって品質が良くないということはありません。新鮮な野菜を毎日仕入れて、お客様に喜んで買ってもらえるように心がけています。

 

Q.お客さんは一度の買い物でどれくらい購入しますか。

工員と学生は、地元住民と違う買い方をします。工員と学生はその日・その時食べたい分だけ買うことが多いです。たとえばその日の献立が酸っぱいスープだったら、1,000リエルの空心菜を一束、魚を 3,000リエル分で一食分になるので、それだけを買います。さらに追加で漬物をちょっと買い足して、白飯をお腹いっぱい食べる傾向があるようです。友達と集まってご飯を食べる際は、土鍋料理のための野菜を10,000~15,000リエル程買ってくれます。一方で、周辺住民の人たちは自宅に冷蔵庫を持っているので、1回の買い物でたくさん買ってくれるんです。

周辺の住民がよく自分の店に足を運んでくれるという

 

忙しい工員の胃袋を満たします!「食堂」

3年前から工場周辺で食堂をやっているセアン・フーイさん(25)。白飯 500リエル、料理一品 2,000リエルという工員にとって手頃な値段で販売している。営業は昼食の時間帯が中心で、店に入るとカンボジア人なら誰もが食べ慣れた料理がずらりと並ぶ。

「どの料理も一品 2,000 リエル !」と通りかかる客に声をかけるフーイさん。お昼時間になるとたいてい満席になるそうだ。安い価格で販売することについてフーイさんはこう教えてくれた。「工員は給料が低くみんな質素な生活をしているので、彼らが支払える価格帯で売ることが大切です。一食3,000から5,000リエル程度でお腹いっぱい食べられますよ」

3年間この仕事をやっているので、工員の嗜好をよく理解しているというフーイさん。「みんな体力を使う仕事をしているので、料理の量を多めにすることも大事です。食べる人の健康も考え、衛生的にも配慮しています。作った分はたいていお昼の時間帯で売り切れてしまいますよ」

フーイさんの食堂では果物も販売している。「酸味のある果物が人気で、みなさんお昼ご飯の後に1,000から2,000リエル分くらいの果物を買って、工場に持って帰ります。工員が求めるものを提供できるよう、その時の旬の果物を揃えています」

 

仕事で疲れた体にいかが?「デザート屋さん」

ソク・チャンナレンさん(33)は、工場近くの市場でデザート屋台をしている。「母からカンボジアのデザートの作り方を教わってこの商売を10年やっています。母は1995年からデザート販売を始めたんですが、2013年に私が引き継ぎました」

工員や学生、周辺の住民が主な顧客層。工員は仕事帰りによく買いに来てくれるという。工員や学生が多いこのエリアで手頃な値段で販売するからこそ、この場で長くこの商売を続けてこられたのだと言うチャンナレンさん。

「工員や学生はお金をあまり持っていないので、500リエル単位でも販売しています。毎日食べに来てくれる人にはサービスで量を多めにして、安くて美味しくて満足してもらえることを考えています」

チャンナレンさんの屋台で買って、自宅で食べる人も多いそうだ。「持ち帰り用のビニール袋入りだと一つ 1,000リエルです」。味を気に入り、リピート客も多いと嬉しそうに話すチャンナレンさん。雨の日を除いて、毎日ほぼ売り切れるという。食べる人に満足してもらえるようにデザート販売をこれからも長く続けたいと話してくれた。

 

一箇所でなんでも揃うのが売り!「ストゥンミェンチェイ市場」

ストゥンミェンチェイ市場の正面

最近オープンしたモール型のストゥンミェンチェイ市場には、工場労働者や近隣住民のニーズを満たす品々が揃うと人気が集まっている。日常生活に必要な家電製品や衣類、宝石・装飾品などのほか、フードコートや映画館など工員労働者や学生などが楽しめる施設だ。何といってもこの市場の魅力は、多種多様な商品と手頃な価格。お盆やお正月などの祝日や週末は人であふれ返り、売れ行きも良いという。

衣料品の店主、スン・スレイニエン(35)さんによると、「主なお客さんは工員と学生、そしてこの市場周辺の住民です。高くても 10,000リエル前後という安い価格のものが集まるのと、他の市場よりお得な商品を取り扱っているので、多くの人がこの市場に買い物をしに来てくれます。工員の人たちは、週末や給料日、休日に来ていることが多い」という。

どの品でも1万リエ ル(2.5ドル)の服販売店がすらりと並んでいる

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