カンボジア生活情報誌NyoNyum 101号から連載している、カンボジアで長年、障がい者スポーツ(パラスポーツ)の普及活動を行なっている団体、ハート・オブ・ゴールドの米山遥香(よねやま・はるか)さんが普及活動の様子を紹介するコラム「Para-Sports in Cambodia!」をNyoNyum WEBでも公開します。
第13回目の今回は、東京パラリンピックに出場する選手を紹介します。
ハート・オブ・ゴールドとは
1996年12月に開催されたアンコールワット国際ハーフマラソンに関わった人々により、「スポーツを通じて国境、人種、ハンディキャップを超えて希望と勇気の共有を実現」することを目指し、1998年 10月10日にNGOとして発足。
2001年3月には岡山県よりNPO法人認定を、2012年には岡山市から認定 NPO法人となり現在に至る。
被災地や紛争地および開発途上国の子どもた達、障害者、貧困者層の人々に対して、スポーツや教育、そのほかの活動を通じて自立につながる事業を行い、苦境 に立ち向かう人々や子ども達が人生にchallengeするための「希望と勇気」を持つことができる機会創造に寄与することを目的としている。
特に、途上国の人々が自分たちの抱える問題を自らの力で解決していけることを目指し、彼らの視点に立って、彼らとともに人材育成に力を注いでいく。
※HEARTS of GOLD公式WEBサイトより
パラスポーツとは
障がい者スポーツの世界大会として、1960年のローマオリンピックから行われていたが、「パラリンピック」という正式名称が使われ始めたのは1988年のソウルオリンピックから。
日本は1964年の東京大会から、カンボジアは2000年のシドニー大会から参加している。
最近、障がい者スポーツのことを”パラスポーツ”という名称で呼ばれることが多く、最近では日本国内でも様々なパラスポーツの大会が行われることが多い。※東京パラリンピック詳細はこちら
いざ、東京パラリンピックへ!
今回は、カンボジアパラ陸上連盟から1 名、東京パラリンピックへの出場が決まりましたので、ご報告したいと思います。
以前コラムで注目のパラ選手として紹介させていただいた、車いす陸上のヴァン・ヴォン選手です。
彼は2019年ドバイで行われた世界選手権大会に出場した際、予選は通過できなかったものの、100m 14.57 秒の記録を残しました。
この記録は、東京パラリンピックのエントリー標準記録である14.70秒を突破しているため、今回は*1 リプレゼンテーション割当枠での参加が決まりました。
ヴァン・ヴォン選手は2016年のリオパラリンピックにも出場しましたが、その時は*2 ユニバーサリティワイルドカード方式での出場でした。
東京パラリンピックに向けて、日本でのパラキャンプに参加したり、日本の専門家からカンボジアで指導を受けたりしたことが、彼の自信と記録向上につながり、今回エントリー標準記録を突破して、東京パラリンピックへの出場権を獲得できたのだと思います。本当におめでとうという気持ちでいっぱいです。
しかしながら、現在彼らの練習場であるオリンピックスタジアムは新型コロナウィルス感染者の隔離施設となっており、一切入ることができません。
在宅トレーニングではできることも限られているため、新しくできた道路で練習を再開しているようです。
トラックと違い、アスファルトでのトレーニングとなるため、タイヤが傷ついたりと、大変なようです
が、毎日トレーニングに励んでいます。
東京パラリンピックは8月24日~ 9月5日に開催される予定です。
パラ陸上100m、T54(パラ陸上障害クラス)の日時は、9月1日(水)午前11時43~57分を予定しています。
※現時点で1~3組のレースの組み合わせが未発表ですが、第1組が11時43分、第2組が11時50分、第3組が11時57分の予定です。
カンボジア国内からはこちらから視聴可能です。
https://www.youtube.com/c/paralympics
Van Vun(ヴァン・ヴォン)選手の応援をぜひよろしくお願いいたします!
*1 リプレゼンテーション割当枠
東京パラリンピックの割当方式によって、各性別の枠を1 枠も獲得しなかった各国のパラリンピック委員会に対して、男子1 枠、女子1 枠の参加枠が割り当てられる。ただし、2 年間(24 ヶ月)参加資格ランキングの終了までにエントリー標準記録を突破した選手がいる各国のパラリンピック委員会を対象とする。
*2 ユニバーサリティワイルドカード
パラリンピックの出場資格枠を競技成績で獲得できなかったか、1 名のみの選手枠しか得られなかった各国のパラリンピック委員会に対して付与される出場者枠。パラリンピック競技大会の基本理念から、選手が最大限参加できることを保証するために設けられた参加枠割当て方法。
カンボジア在住7年目。大学時代、健康スポーツについて学ぶ傍ら、カンボジアを支援する学生団体でボランティア活動を行い「将来カンボジアでスポーツ開発に関わる仕事がしたい」と思っていたところ、NPO ハート・オブ・ゴールドに出会う。卒業後にカンボジアへ渡り、同団体で2年間インターンとして活動し、3年目から職員に。
これまでの記事
・第1回:ハート・オブ・ゴールドがカンボジアでパラスポーツ支援を始めたきっかけ
・第2回:カンボジアパラ陸上競技会と プノンペン補習授業校の社会科見学
・第3回:注目のパラ陸上選手を紹介!
・第4回:アンコールワット国際ハーフマラソンへ向けて&結果報告
・第5回:第10回ASEAN Para Games へ向けて
・第6回:陸上クリニックと絆フェスティバル
・第7回:カンボジア国内のコロナ禍でのパラスポーツの活動自粛と再開
・第8回:日本のパラリンピアンとの絆
・第9回:カンボジアパラリンピックデー
・第10回:コロナ禍でも前進
・第11回:クラウドファンディングに挑戦!
・第12回:ロックダウン下でのトレーニング
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