近年、目覚ましい経済発展を遂げるカンボジア。
国内の急速なデジタル化で情報を得た若者は国外へ飛び出すものも多いです。
日本へ向かう若者もここ数年で数倍に増えてきています。
勉学に励むもの、母国の発展のために働きながら技術を習得するものなど。
日本で日々奮闘しているカンボジア人の姿をNyoNyumの姉妹誌NyoNyum Khmer内の「レポートフロムジャパン」というコーナーを通して紹介してきました。
そして、上記コーナーを「是非、日本語でも紹介して!」という声が多かったので、読者の日本人の方や日本語学習するカンボジア人の方にも知ってもらいたいということでNyoNyum webで日本語版でも紹介していきたいと思います。
今回は明治大学に留学中のポル・ニーヴィラーさんです。
奨学金の試験を受けて、日本に留学しよう!
Phal Nyveara(ポル・ニーヴィラー)さん(29歳)はコンポンチュナン州の州職員ですが、1999年に日本政府が実施した留学生を受け入れる「人材育成奨学計画(略して JDS)」という無償資金協力で、2018年8月から修士課程で明治大学の公共政策を研究している。
このJDSの奨学生として奨学金の応募方法と日本での研究生活などについていろいろ教えてくれました。
●JDS奨学金の応募について
まずは応募者が一般財団法人日本国際協力センター(JICE)の在カンボジアJDSプロジェクトというところに出願書類を提出することです。
この奨学金の募集時期と受付は、毎年8月から10月初頭まで日本国際協力センター(JICE)カンボジアオフィスのwebサイトと事務所で実施しています。
出願後には応募者の英語と数学の能力試験(数学試験は不要の場合もある)があります。そして、提出した願書にある研究計画書が主に大学側で検討されることになります。
第一次書類選考に合格した候補者の健康診断が指定病院で行われた後は、大学の先生から直接研究計画書に関するインタビューがあります。
それに受かったら、一般知識を図るために奨学金委員会からのインタビューがあります。
その後、合否の通知がくるというプロセスです。
●明治大学の特徴
この研究プログラムで学生は、40単位に相当する20科目まで、あるいはそれ以上の科目の履修を選択することができます。
自分の選択した履修科目はほとんど自分の研究と関連していて、政府の公共政策と関連する科目ばかりです。
学内の研究と相まって、日本文化と日本人の生活の様子をより理解するために、日本政府機関や地方での見学もあります。
さらに学生の見解を広めるために、専攻の関連科目で他の政府高官や外交官、教授などによる特別な講義も実施されています。
学内には留学生向けの日本語の学習クラスがあり、日本の文化や生活様子を学ぶ一方、留学生が自分の国のことや経験など伝え、日本との異文化交流をする機会があります。
また、大学の設備もよく整っていて、学習は非常に充実しています。
●大学の研究で取り組んでいること
二年次に研究論文を書く時間をつくるために、一年次に履修科目をたくさん取ったので、それがちょっと大変でしたね。
履修各科目のクラスではプレゼンテーションがあり、積極的に自分の意見を論理的に述べることが求められます。
そのため、クラスが始まる前に事前に本をたくさん読んでおかないといけません。
そして、各クラスの最後には課題があり、みんなちゃんと研究したうえで、課題のレポートをきちんと書いて提出しないといけません。
●日本の学生との交流
日本人の学生とは仲が良いですよ。クラスの後にはみんなと日本のあれこれのトピックで話をしたり、意見交換をしたりしています。
日本人と同じクラスを履修したことがありますが、日本の学生は物事を論理的に考える能力が高いですが、私のような留学生に対してはちょっとシャイなところがありますね。
●日本での生活
ここでの生活は特に問題がなく、治安はとても良いですよ。
東京ですから、交通の便が良く、夜でも安全です。住む環境も良いし、食べ物も衛生的に良いうえに、手に入りやすいです。公衆のトイレもきれいで至る所にあります。
区役所の職員も明るいし、外国人の生活やごみの処理方法などまでちゃんとまめに指導してくれています。
そして日本人の印象ですが、東京の人はちょっと冷たいですが、地方に行くと違って、特にお年寄りの方はみんな明るいですね。
日本ではごみ処理の仕事をする人をはじめ、みんなとても勤勉です。
今までアジアのいろいろな国へ旅しましたが、日本が一番住みたくて、大好きな国です。
●将来の希望とカンボジアの学生に伝えたいこと
自分の今の研究結果が、公的な機関における国民からのクレーム削減につながるように、現在のカンボジアの役所の仕事に貢献できると良いですね。
この研究を通じて、国民への公共サービスの質を向上することができるようにしたいです。
カンボジアの学生には、勉強とともに本もたくさん読むようにしてもらいたいです。
そして、自分の知識と世界観、自国への愛国心を広めるために、日本のような先進国への留学奨学金プログラムに積極的に応募・受験をして、日本留学を是非してください。
取材、翻訳:Nop Visal
(NyoNyum Khmer 39号掲載)
※掲載情報は取材当時の情報です
「レポートフロムジャパン」前回の記事はこちら
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