人は食うために働く。カンボジア人のそんな姿を切り取るニョニョムでおなじみのコーナー
「カーロッシー(食いぶち探し)」。今回はプノンペンの路上でノムクロを売る・ソムウンさん
カーロッシーとは?
生活情報誌NyoNyumで長年人気を誇るコーナー「カーロッシー」。人は何のために働くのか。カンボジアの人々の答えは明快、「食うため」。
彼らは、働くことを「カーロッシー(食いぶち探し)」と呼ぶ。汗と涙を流しながらも、日々淡々と行われるその営みを紹介する。
ノムクロ売りのソムウンさん
カンボジアには、ココナッツミルクと米粉で生地を作った、タコ焼きのような見た目の伝統的なお菓子「ノムクロ」がある。魚醤とココナッツミルクを混ぜたソースで食べる。もちろん、中にタコは入っていない。
プノンペンのストゥンミエンチェイ地区で人気のノムクロ店店主、プロム・ソムウンさん(48)は、アツアツの鉄板を相手に、1 日中このお菓子を作り続けている。
ノムクロ売りのお仕事
2003 年に家族 4 人で地方からプノンペンに移住し、それからずっと主婦をしていたソムウンさん。都心部は物価も高く、子どもが大きくなるにつれてどんどん生活費がかさんでいった。「少しでも家計の足しに」と 5 年前に起業を決意し、開業費用が一番安かったという理由でノムクロ屋台に決めたという。親族からお金を借りて 2015 年に開業した。
ノムクロは「2 つの半球をくっつけて1 つのまん丸い球状にする」と作り方が決まっている。ソムウンさんの屋台にある金型では一度に10個ほどしか作れないため、朝10時から夜7時まで炭火コンロとにらめっこで作業をしている。ノムクロを作るのは単調だが、お客さんとのやり取りが楽しいのでこの仕事が大好きだという。
かなり儲かる?
家計を支えようと始めた商売だが、今では生活の余裕を生み出しているそうだ。売り上げを尋ねると、多いときで1日40ドル。材料費は 1 日 15ドルぐらいだと教えてくれた。基本的に毎日店を開けているので、単純計算でひと月750ドルも稼ぐことになる。ノムクロのおかげで 2人の子どもを学校に通わせることができたのだという。
繁盛の秘訣
この繁盛ぶりに便乗しようと近くに他の人がノムクロ屋台を出したこともあったそうだが、まったく売り上げには影響しなかった。
ある店は客がつかず早々に撤退、さらにまた別の店はノムクロでは太刀打ちできず違うものを売る屋台に鞍替えしたというから、ソムウンさんが築いた人気の高さがうかがえる。
その秘訣は「味」と「お客さんとの会話」だそう。取材中もノムクロを焼きながら、やってきた客にニョニュム取材班の紹介をしてくれた。この立ち話にソムウンさんの技術があるのかもしれない。
将来のビジョン
今ではノムクロ売りのビジネスに自信を持つソムウンさん。「今後は店番を雇い、店舗を増やしてビジネス拡大を狙っていきたい」と、にこやかに将来のビジョンを語った。
お店の場所
ソムウンさんのお店はストゥンミエンチェイ幼稚園のそばにある。場所代が安いのでここにしたという。テーブルと椅子があるので、座って食べることができる。
お店は地図中心の丁字路が2つ続くところ、2つの交差点の間にある。
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