2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。本当に本当に久しぶりの登場です♪
このところ、大量の翻訳に立ち向かう日々が続き、ひどい肩こり、腰の痛み、目の疲れ…に悩まされています。
日中は別の通訳などで出ているため、夜中が勝負。静まり返った部屋で、ただひたすら作業をするわけですが、最近の翻訳業界ではAI 機能を駆使したシステムが導入され、それを利用することがあります。
例えば、単調な単語を置き換えるような作業の場合、このシステムを使うと1 回確定した単語は、次に同じ単語が出てくる部分に全て反映されるので、何度もタイピングをする必要もなく、また「あれ、さっき同じ言葉が出てきたけど、これって何だっけ」なんていうときにいちいちページを戻って確認しなくてもよい。
これは便利。
作業時間が断然短くなります。
とはいえ、毎日夜な夜なPC に向かってAI と一緒に進める作業は、それはそれは過酷なもの。
眠いし、もう自分が石になっちゃうんじゃないかっていうくらい体が凝り固まるし、AI だったらこんな苦しみもなく、淡々と一度出てきた単語をさっさと置き換えて仕事ができるのよねぇ、と、目の前にいる(?)AI がうらやましくなる。
ああ、私もAI になりたい。AI になれば、次の日に駆け込むマッサージ代は「修理代」として経費で落とせるでしょ!?!?!
そして、作業はどんどん進んで確認作業、レイアウト作業などが始まる。
すると、今度はAI の欠点がどんどん見えてくる。彼ら(?)は単純な置き換えはできるけど、やはり文脈を見て表現をするということが苦手なよう。
それから状況判断ができませんね。
そうなると、それを直すのが私たち人間ということになり、その作業を進めているとだんだん「なんだ、AI のしりぬぐいか」というような気持ちが生まれてくる。
ん~。
もっと進化して、これくらいの翻訳、人間の手を借りなくてもできるくらいにならないかしねぇ。という思いの反面、このまま私が丁寧にこの子たちの間違いを指摘(システム上で直す)していたら、彼らはどんどん私の表現方法を盗んでいくんだろうな、と思い始め、なんだか教えてやりたくないという気持ちに。
さて、どっちでしょう。
将来の私の翻訳作業がらくちんになるように、AI に私の翻訳テクニックを教えるべきか、それともそんなことしたら将来私の翻訳作業が必要なくなる=仕事を奪われるんだから、教えてやらない方がいいと、あえて間違った翻訳をここでいっぱいインプットして混乱させてやるとか…。
どっちがいい?
ボンユキとAI との二人三脚の夜な夜な作業。
私の心には葛藤が巡るのです。
Cambodia Joho Service 代表/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け25年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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※ボンユキエッセイですが現在、過去の誌面で紹介された記事をweb記事化し、近日中に紹介予定となっています。
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