現地情報誌NyoNyumでひそかに人気のあるコーナー「探偵?カンボスクープ」。
編集部員がカンボジアの気になるモノ・コトをかけ回って突き止めます!
今回はカンボジア人に人気のアクセサリーの裏側を調査!
ハンディクラフトのイベントなどでよく見かける謎の金色のアクセサリー。店員が商品を並べだすと、途端にブースの周りに人だかりができる。その人だかりのほとんどがカンボジア人だ。ブースに並べられたイヤリングやブレスレットをよく見てみると、ロータスの花やカンボジアの伝統的な模様などが美しくデザインされている。その黄金に輝く物体はどうやら金属のようだ。派手すぎず地味すぎず、絶妙な色合いや温かみのある雰囲気が魅力的である。いったいこのアクセサリーはどのようにして作られているのか!? プノンペン郊外にある工房に潜入してみた。
オーナーのトゥーンさんに連れられて、商品が作られている場所へ。そこには8 人のスタッフが働いていた。工房の中に入るなり、そわそわし始めるトゥーンさん。どうしても見せたいものがあるようだ。「これを見てくれ」。そう言って持ってきたのは、銃弾だった。「これを溶かして、好きな形で固めて、アクセサリーにしているんだよ」。そう、人だかりができるほど大人気だったアクセサリーは、撃ち終えたあとの鉄砲の弾からできていたのだ。争いの象徴のひとつでネガティブなイメージの銃弾を、平和のシンボルとしてのアクセサリーに作り変えることで、平和のメッセージを伝えたいという強い想いが込められている。この銃弾、もしや…と思い恐る恐る聞いてみたが、使われているのは軍隊の訓練所や観光客が射撃場で撃ったもので、争いごとに使用されていたものではないとのこと。
基本は提携しているNGO からオーダーがあったものを作っているとトゥーンさん。シェムリァップの小さなお店でもトゥーンさんたちの商品を扱ってもらっているそうだ。シェムリァップといえば観光客がたくさん訪れる場所だ。さぞかし儲かるだろうと思い尋ねてみると、なぜかトゥーンさんの顔が曇った。それもそのはず、そのお店の人は、トゥーンさんたちが作った銃弾のアクセサリーをお客さんが見るサンプル用に買っていて、実際に売る商品は似たようなものを中国から仕入れているらしい。そんな衝撃の裏事情を聞き唖然としたが、意外と本人はあっけらかんとしている。「今は残念ながら、カンボジアで販売されている製品はベトナム産や中国産のものが多い。カンボジアで作った製品をもっと世界に広めていきたい」。そう語るトゥーンさん。銃弾アクセサリーの今後が楽しみだ。
<NyoNyum No.90より>
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