(日本語) 【現地観戦レポート】JFL選抜、カンボジア遠征は1勝1分で終える
(日本語) 【現地観戦レポート】JFL選抜、カンボジア遠征は1勝1分で終える
2018.08.06

先週末、日本のJFL選抜(日本フットボールリーグの選抜チーム)がカンボジア遠征を実施。プノンペンのオリンピックスタジアムにて、3日にU-19カンボジア代表、5日にボンケットFCと親善試合を行ないました。

カンボジアで日本のチームが試合を行なうのは、昨年7月にプノンペンで行われたU-23AFC選手権予選(U-22日本代表)以来。今回はNyoNyumスタッフによる2試合の観戦レポートをお届けします。

 

1試合目:U-19カンボジア代表 vs JFL選抜


通常のカンボジアリーグの試合は、土日の18時から開催されることが多い。だが、この日のキックオフは金曜17時。

日本と同じくカンボジアも17時まで勤務している人が多いので、当然スタンドの観客はちらほらいる程度。見ている側としては、せっかく日本から来てくれたのに申し訳ないという気持ちになりながらキックオフを迎えた。

そして、前半20分頃から仕事を終えたカンボジア人が徐々に増えはじめ、後半の終わり頃には約1500人ほどの観客が。サッカーの国際試合を行なう「それなりの雰囲気」にはなった。

印象的だったのはJFL選抜が先制点を決めた直後。試合に出場している選手とベンチの選手が集まり、「JFL 20」と人文字を披露。

(『JFL20』の人文字)

今年で20周年を迎えたJFLを表現したものだ。残念ながら審判が間に入ってしまいうまく写真は撮れなかったものの、このような親善試合ならではのパフォーマンスも観る者を楽しませてくれた。選手の皆さん、ありがとうございます。

肝心の試合はというと、体格差においてJFLの選手達のほうが一回り大きいうえ、技術、判断などすべての面で上回っており、U-19カンボジア代表はほとんどの時間帯劣勢を強いられた。

だが、このチームのいいところはどんな相手でも怯まず立ち向かえるところ。昨年行われたAFC U-19選手権予選でも、格上の中国やミャンマー相手にも果敢に攻め、本戦出場まで後一歩のところまで迫った。

そんな選手達の姿に影響されたのか、それまで静かに見ていた観客からも徐々に歓声が上がりはじめる。カンボジアでサッカーは人気スポーツだが、これまで試合で大差がつくと観客の多くはスタンドを後にすることがよくあった。だがこの日は違った。どんなに点を取られても帰ろうとする観客ほとんどおらず、むしろ終盤になればなるほど声援が大きくなっていたように感じた。

試合は地力で勝るJFL選抜が0-4で勝利。終始安定したプレーを見せたJFLの選手達の技術力の高さに関心したが、それ以上にU-19カンボジア代表の選手達も、格上相手に90分間集中を切らさずに戦った姿が目に焼き付いた。この試合での経験を糧に今後、彼らの成長に期待したい。

 

2試合目:ボンケットFC vs JFL選抜

2試合目は日曜日の17時キックオフと、サッカー観戦にちょうどいい時間帯に行われた。しかもこの日の対戦相手はカンボジアリーグ2連覇中のボンケットFC。カンボジアのスター選手FWチャン・ワタナカも所属、しかも入場無料とあって1万人近くの観客を期待したが、目視で確認した限りではゴール裏、バックスタンドと合わせて3000人ほどだった。

この試合、JFL選抜は青いユニフォームを着てプレー。潜在意識として、やはり青いほうが応援しやすく感じてしまう日本人は私だけではないはず。

一方の白いユニフォームはボンケットFC。FWワタナカをはじめ、カンボジア代表メンバーや、強力なナイジェリア人FWコンビも先発。そしてキャプテンは、かつてはFC琉球などでプレー経験のある、カンボジアリーグ3年目のMF水野輝選手が務める。

カンボジアのトップクラブが日本人の選抜チーム相手にどこまでできるか注目だったが、試合は開始早々に動く。ペナルティエリア付近からブラジル人選手の豪快なミドルシュートが突き刺さり、ボンケットが先制。金曜の試合と違い、早くもスタンドは大盛り上がり。

だが、得点と同時にアクシデントも発生。得点時に相手選手と交錯したFWワタナカが負傷してしまい、そのまま交代。ワタナカは昨年まで日本でプレーしており、久しぶりに日本のチームと試合ができるとあって気合が入っていたのでこの交代は実に残念。その後ボンケットはナイジェリア人コンビを中心に果敢にJFLゴールを脅かすも追加点ならず。すると前半終了間際に藤巻選手(三重)の得点でJFL選抜が同点に追いつき、そのままハーフタイムへ。

後半はJFL選抜がボールをキープする時間が長く、何度かチャンスを作るもボンケットはMF水野選手を中心に守り、得点を許さない。しかし後半20分、ゴール前で得たFKを長島選手(今治)が直接決め、1-2とJFL選抜が逆転に成功。あまり角度がなかったが、GKの頭上を超えてファーサイドへ見事な得点だった。

その後はボンケットの強力なナイジェリア人FWが何度もJFLゴールを脅かすも得点はできず、時間は過ぎ後半アディショナルタイムへ。このままJFLを選抜が逃げ切るかと思われたラスト2分、ゴール前での混戦からボンケットが決め同点に。試合はそのまま2-2で終了。

最後の得点は間違いなくこの日一番の大歓声が起き、これを見られただけでも来て良かったと思える瞬間だった。

 

日本人サポーターの盛り上がり

今回は日本人の姿もちらほらみかけ、金曜は10人ほどが観戦。中でも印象的だったプノンペン在住のヴァンラーレ八戸サポーターの方は、クラブのユニフォームを着て佐々木航選手の横断幕を掲げ、JFL選抜を応援。八戸からはるか遠いカンボジアの地での応援に、選手も嬉しかったに違いない。

日曜はさらに多く、20人ほどの日本人がスタジアムに足を運んだ。日本からはHONDA FC奈良クラブのサポーターの方が来て、カンボジアでは珍しい応援スタイルで試合を盛り上げてくれた。

また、この試合はインターネットの中継を通して、日本でもLIVEで試合を観ることができ、カンボジアのサッカーを知ってもらえる良い機会になった。

 

ボンケットFC・水野輝選手インタビュー

 

まとめ

JFL選抜と応援にかけつけたサポーターと在住者のみなさんと記念撮影。特に日本から来られたサポーターの方は選手リストのチラシをはじめ、横断幕、応援などカンボジアの人に少しでもJFLのことを知ってもらおうと行動的で熱い気持ちを持った方だった。

カンボジアのサッカーに関わる身としては、学ぶことは非常に多くあった。本当にありがとうございました。

NyoNyum Webでは、今後も日本とカンボジア両国のサッカー交流などを紹介していきます。

 

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