今日6月20日は来年行われる東京オリンピックチケット発表日。各メディアでは当選をうたった詐欺事件への注意喚起を促すニュースが流れ、SNS上では当選者は一世一代の大勝負に勝ったかのように喜びを爆発させ、落選した者は次の発売日に向けてID登録や申し込み方法の確認し、意気込みを語るなど多くの人が話題にしている。そんな日本から遠く離れたカンボジアの首都プノンペンでは、今日も一人の日本人コーチがカンボジア人選手たちを相手に全力で練習を教えている。全てはTokyo2020出場のために。
6/10に発行したカンボジア生活情報誌NyoNyum101号内でカンボジア水泳代表を指導している生山咲さんのコラム連載を開始しましたが、WEBでも紹介したいと思います♪
「帰ってきたニャックルー !」
はじめまして! カンボジア水泳連盟でヘッドコーチを務めている生山咲です。2016 年1 月にJICA の青年海外協力隊の水泳隊員としてカンボジアに派遣され、2 年間の任期を終えた後にまたカンボジアへと戻ってきました。戻ってきた理由はたったひとつ。“教え子たちを東京オリンピックに連れていくため” です。
カンボジアのスイムチームは、東南アジアの中でも下位を争うほど弱いチームです。私が来た当初、約3 年前の東南アジアの大会では、100 メートルのレースで他国の選手になんと、25 メートルも差をつけられて負けていました。そんな選手たちは、かつて“カメ” と呼ばれてきました。だけど、そんな周りの言葉なんて関係なく、彼らは緑色の水をしたプールの中で、キラキラした目で水泳を楽しんでいました。その純粋でまっすぐな瞳に心を奪われ、この子たちの持つ夢と可能性を、最後まで信じ抜こうと心に誓いました。
あれから今日までの3 年半。“メダル”という、目に見える形での結果しか求められない世界。そのメダルからかけ離れた現実と次々に起こる問題。「日本人のコーチが来たのにメダルが獲れ
ないなんて、水泳チームは負け犬チームだよね”」と、心無い言葉を浴びせられる日々。正直辛いことばかりで、何度日本に帰りたいと思ったかわかりません。それでも、自分を信じてくれる、必要としてくれる彼らがいるから。彼らの夢を一緒に叶えたいから。「国際大会でメダルを獲って、ニャックルー(先生)の首にかけてあげたいんだ!」って言ってくれる選手がいるから。だから今日も私は、カンボジアの負け犬スイマーたちと、大いなる夢に向かって泳ぎ続けます!
可能性は無限大だ!
伸びしろ十 分の若いカンボジアの選手たちの今後に期待 !
きつい練習もみんながいれば笑顔で乗り切れる!
筆者: 生山 咲
1992 年生まれ。母の影響でベビースイミングから水泳を始め、大学卒業まで22 年間競技生活を
続ける。東海大学水泳部では女子主将を務め、2014 年9 月の日本学生選手権をもって現役引退。2015 年3 月に東海大学教養学部国際学科を卒業後、平成27 年度3 次隊でJICA 青年海外協力
隊の水泳隊員としてカンボジアへ渡り、2 年間ナショナルチーム及びユースチームの選手を指導。任期満了後に再びカンボジアへ戻り、現在は代表チームのヘッドコーチを務めている。
テレビ番組「いつか世界を変える力になる 第3部」に出演
BSフジで放送されている俳優 斎藤工さんが世界中のJICA協力隊員を訪れ、彼らの「今」を追う番組「いつか世界を変える力になる」。3月17日に放送された第三部に青年海外協力隊OGで現在、カンボジア水泳代表のヘッドコーチを務める生山咲さんが出演しました。
これまでカンボジア水泳代表を紹介した過去の記事はこちら
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