皆さん、ようやく就航しましたね! ANA の直行便。前回のエッセイでボンユキ改めセレイポリカーとなったばかりですが、やっぱりボンユキに戻りまして、今回は「アナユキ物語」いや、ANA とボンユキの物語をひとつ。
思い起こせば2013 年に経団連のミッションでANA の社長がメンバーとして来られ、フン・セン首相以下、CDC の大臣、公共事業運輸大臣、商業大臣、なんとか大臣と、ありとあらゆる閣僚から「ANA はいつカンボジアに直行便を飛ばすんだ」と針のむしろになっている様子を、実は近くで通訳させていただいておりました。1994年から22 年間、ずーっとバンコクをはじめ、ありとあらゆる経由地を経由して日本を往復してきたボンユキ。いくらギャラをいただいているクライアントだとはいえ、こればっかりはギャラをもらってないカンボジア側に思いっきり立ち位置を置いて、かなり個人的な感情を含めて大臣と一緒になって「どうなってるんだ、いつなんだ」と通訳しておりました。
そして昨年、2015 年にフン・セン首相が日本を訪問。奇しくもANA からご依頼をいただいてフン・セン首相へのお目通りに同行することに。その際に、カンボジアがどれだけ(ついでに私がどれだけ)直行便を待ち望んでいるかを雑談の中で社長にお伝えさせていただくと、なんと会談の中で「先代社長の頃から皆さんのご期待をいただき、さらにここにいる通訳さんも20 年以上遠回りをして日本を往復してきたというので、早く直行便を実現させます」と。なんとびっくり! とっても恐縮していたボンユキですが、ひとつの企業が新しい挑戦をする決定を間近で見れた瞬間でした。
それから1 年以内に「ANA 就航決定」のニュースが飛び込んできて、本当に嬉しい。よかった。助かった~と、懇意にしていたタイ航空には悪いけど、ANA の日本便チケット発売と同時に、私はさっさと9 月の出張のチケットを取りました。それも9 月1 日の初便の帰路便。こんなにご縁があるのだから、最初の、最初の便に乗りたい。ミーハー心でもなんでもなく、とにかくその喜びをかみしめたい一心で。するとなんと、1 日・2 日の就航記念式典や一連の行事で、昨年お会いした社長がカンボジアに来られるので通訳を、というご連絡が。
え…。
1 日の夜に皆様のお客様として日本に帰る予定なんですが…。
いや、それは困りますと言われても、私も困りす…。
そんなやりとりもありましたが、ANAの皆さんと一緒にプノンペン国際空港で初便が着陸してくる様子を眺めて涙。就航式典を無事に終え、3 日に晴れてお客様として飛行機に乗り込み、また涙。
ANA とボンユキのストーリー。略して「アナユキ」。ディズニー映画にはならないけど、私の人生劇場では、いつまでも語り続けられることでしょう。
2016.10-11月号(第85号)掲載
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