このところのエッセイで「三昧ネタ」が続いておりますが、翻訳三昧、通訳三昧の次はマッサージ三昧!決して毎日のようにマッサージやエステに通うセレブな生活をしているのではなく、おそらく前回、前々回の「三昧」のしすぎだろう…。気づくと体が凝り固まって、息ができなくなることもしばしば。やばい、またやってしまった…と反省する時にはもう遅い。
そんな私を救ってくれるのがマッサージ。行きつけは通称「JICA マッサー」。ホントの名前は「ASIAGARDEN CARE CENTER MASTER KANG」。昔のJICA 事務所の隣の隣の建物で、かれこれ10 年くらい通っている。運転手さんに場所を告げるのに「JICA の近くのマッサージに行ってください」と言っていたのだけど、だんだん省略して「JICA マッサージ」「JICAマッサー」と短くなって、こう呼んでいるのだ。なので、通称といっても巷で通る名ではなく、私と運転手さんの間だけでしかわからないはず。
まるで駆け込み寺のようなこのお店。店員さんも、私が入っていくと身構える。このところはほんとに具合が悪い状態で入店するので、相当腕のいいマッサージ師さんを担当につけてくれる。最近のマッサージ師さんは中国人の女性で、大柄でとっても力があるすご腕。私の凝り固まった鉄板のような肩や背中や首を、ぐいぐいぐいぐい、確かな技術でもみほぐしてくれるのだ。時々「ホニャララ」と、中国語で何か言われるのだけど、絶対に「こりゃひどい凝
りだわね」と言っているに違いない。数少ない中国語の語彙の中から「トン、トン(痛= t�ng)」と訴えると、「そうでしょう、そうでしょ、こりゃひどいものねぇ」みたいなことを言われる。会話になっていない会話だけど、私の気持ちを理解してくれるんだと、なんだか安心する。
先日も、朝一で車移動していたら、前日の夜に翻訳に集中しすぎてしまったのがたたってか、息苦しくなってパニックを起こした。「急いでJICAマッサーへ行って!」と、方向転換してもらい、お店に駆け込んだ。しかし、なんとお店は10 時オープン。その時まだ9 時前。ああそうか。マッサージ店って夜遅くまで営業しているから、開店は遅いんだ…。おずおずとオフィスに戻り、10 時を待って再び駆け込んだ。「ねぇねぇ、マッサージ店が朝からやっていたら駆け込みたい人っていっぱいいると思うわよ。他がやっていないから、絶対ビジネスチャンスになるはずよ」。そんな気の利いたことを言いたいけれど、中国語は「トントン(痛)」しか喋れない。トントン言いながら身をゆだね、意識が遠のいていく。いつか中国語が喋れるようになりたいなぁ~、なんて考えながら…。
2016.4-5月号(第82号)掲載
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