陶工たちに求められているのは、職人として商品を生産する技術だけではありません。個性ある作家として、創造性、オリジナリティー、そしてお客さんとのコミュニケーション、マーケティングも必要です。
これまで日本からの陶芸家による陶芸技術のワークショップは多く行ってきましたが、今回、陶工たちの感性に刺激を与え、創造性、デザイン思考を高めることを狙いとして、デザインワークショップを初めて試みました。
企画したのはイギリス、ブライトン大学博士課程でソーシャルデザインを学んでいるリナさん。コンポンチュナンに住んでいたこともあります。韓国人の女性です。フィールドワークの場として私たちのプロジェクトを選んでくれました。
「ワークショップを通して、みなさんの創造性が高まり、マーケットやトレンド、顧客に対する知識や理解が深まるよう願っています。多様な独自デザインを生み出し、お客さんとより良いコミュニケーションが取れ、この工房をあなた方自身で持続させていくことに役立つでしょう」
このワークショップは参加者の行動を促していきます。様々な課題が与えられますが、それには正しい答えも間違った答えもありません。
自分自身のアイデアを表現して欲しいのです。
陶工たちへのインタビューから彼らの課題を発見。デザインのインスピレーションを得るためにiPadを持ち込んでインターネットで検索。気になったイメージをスクラップ。カンボジアの伝統デザインを元にして新たに文様を自分で描く。集まったデザインのネタをアイデアブックとしてまとめる。そこから発想を得て造形、装飾に応用。象、パイナップル、蓮の花、アプサラをデザインモチーフとして、実際にティーポット、カップ、ボウル、アロマポットなどを制作。そういった感じで、昨年11月から今年の3月まで10回のワークショップを行いました。
リナさんが帰国されるので3月末でいったん終了です。成果が彼らの作品に現れてくるのを楽しみに待ちたいと思います。そして、ファシリテーターとして陶工たちの創造性を引き出してくれたリナさんに大きな感謝を。
2015.4-5月号(第76号)掲載
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