2015 年10 月10 日。おかげさまで、ニョニュムは12 歳になりました。カンボジアの社会を見つめ、感じ、動き、伝え続けてきた12 年。
カンボジアの「笑顔=ニョニュム」を伝えたい。笑顔の裏にある、苦しいことや、過去の辛い歴史も含め、それでもなぜカンボジアの人たちの笑顔がこんなに素敵なのか。そんなことを知りたい。伝えたい。その思いで、ニョニュムは人々の話を聞いてきた。
ネタが尽きることはありませんか?そんな質問をよく受ける。いやいや、尽きることはありませんよ。だってニョニュムが伝えているのは「カンボジア」そのものだから。乗り合いタクシーの隣にいた人、田舎で見たもの、道端に転がっているものさえもネタになる。
私がプノンペン大学の学生だった1998 年頃、政治混乱と貧困、低迷する経済の中で、クラスメイトが「将来自分の国がどうなっていくのかわからない。アンコールワットを造ったのが自分たちの祖先だというけど、本当にそうなのか。今のカンボジアを見ているとそんなことさえ疑ってしまうよ」と、ため息混じりに話していたのを聞いた。私から見れば、カンボジアには素晴らしい文化があり、学ぶものがいっぱいある。それなのに目の前にいるその若者は、それを認識していない。だから自信がない。カンボジアの発展を担っていく世代なのに。
カンボジアの発展の原動力は、カンボジア人が自分の国に誇りを持ち、生きていくことなのではないかと思った。この人たちがこれから社会に出て親になる中で、自分たちの国に誇りを持つ一歩は、カンボジアのことを知ること。ニョニュムで伝えるという行為を通じて、カンボジア人がカンボジアのことを知り、それを読む外国人が「面白い!」と喜ぶ姿を見れば、それが自信になり、誇りになるのでは。
そう感じて、動き、生まれたのがニョニュムです。
感じて動く、感動の連続。それが積み重なり、12 年。これから先何年もニョニュムはその連続、積み重ねをしていくでしょう。カンボジアを愛し、誇りに思う編集部スタッフがそのミッションを果たしてくれる。そして、毎号楽しみにしてくださる読者のみなさまが、ニョニュムを読んで笑顔になり、そしてカンボジアを誇りに思っていただけたら嬉しいです。
これからもニョニュムをよろしくお願いいたします。
2015.10-11月号(第79号)掲載
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