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壊れかけたボンユキ?

翻訳、通訳、マッサージ三昧のボンユキですが、いろんな人に「疲れてるね」「大丈夫?」って声をかけられる日々が続いています。日本出張から戻ってきて、2 週間も風邪を引きずってしまい、次の出張に向けての準備やらで休めない日々。ああ、疲れた。体が持たない。体のあちこち不調だし、このままどんどん体が悪くなっていったらどうしよう…。そんな不安を感じたときに、ふと思ったのがこのクメール語でした。

“ខូច(コーイ)”。

基本は「壊れる」という意味で、「バェンター・コーイ(メガネが壊れた)」といった使い方をする。さらに子供とか人とかに対して「コーン・コーイ(悪い子)、モヌッ・コーイ!(悪い人!)」といった形でも使い、「スレイ・コーイ(悪女)」などなど、良い状態が壊れたことから「悪い」という意味にもなる。

…というところまで、私は22 年前に協力隊員としてカンボジアに来る前に、日本で派遣国の語学の勉強や体力作りなどを行う3 カ月の訓練で習った。カンボジアに来て、派遣先の職場のスタッフやホームステイ先のご家族、市場や下宿の大家さん、カンボジア人の友達と会話をしているうちに、この「コーイ」の使い方にびっくりした。それが「マダーイ(母)・クニョム(私)・コーイ(壊れる)・ハォイ(過去完了)」といった表現。ん? 「私のお母さんは壊れました」????? しばらくすると、街では、おばあちゃんが昨日コーイしたとか、お父さんは20 年前にコーイしただとか、あちこちで人が壊れている。

よくよく聞くと、コーイは「死ぬ」という意味で使われているようなのだ。最初はものすごく違和感があったこの「コーイ」。人が、しかも死ぬことに、(モノが)壊れたといった言葉を当てていることがスッキリしなかったのだ。

20 年前の若かったあの頃は、どんなに徹夜しても、朝まで飲んだり踊ったりしても、次の日なんともなかったのが、このところは体のあちこちが痛いとか、機能が衰えていることを実感し、「ああ、なんだか私の体、壊れてきた~。修理に行かなきゃ~」と思った…。その瞬間、ああ、なるほど! カンボジア語の「コーイ」ってまさに壊れるであり、その果ては死であり、人は体のあちこちが壊れて(衰え)、最後にはボンユキ・コーイ・ハォイ(ボンユキが壊れちゃった=死んじゃった)となるのだわ。

まさに、生きた言葉。

壊れかけたボンユキ、ここにきてこの単語を体得しました~。なんか感動さえ覚えましたが、いやいや、明日から修理三昧頑張ります…。

2016.6-7月号(第83号)掲載