2016 年に入って、通訳に追われる日々が続いている。もちろん私の専門だから、こういう仕事がたくさんあることは大歓迎! でも、通訳が1 本入ると、そのために事前勉強や準備があり、セミナーや原稿があるような場面だと事前に読み上げ練習をしたりと、相当な時間、日数をその準備にかける。セミナー用の原稿翻訳まで受けると、それはそれは、ひっちゃかめっちゃかになってしまう。そのため、日常生活はおろそかになり、お掃除、お洗濯はそっちのけ。猫もニャーニャー、構ってくれない私の周りをウロウロしてくる。ごめんね。
とはいえ、そんな事前準備を乗り越えて、いざ通訳をするとなると、やっぱり楽しい。水を得た魚のように生き生きと通訳をしている自分がいる。好きなんだなぁ。この仕事。ほんとにそう思える瞬間。
この数週間は、大臣、都知事、長官級の通訳をさせて頂くことが多く、それなりに神経を使って臨んだ。事前に準備できるところはしていくのだが、やはりフリートークになると何が飛び出してくるかわからない。技術的な話だと、相手がどこまで理解しているのかとか、その裏にどういう意図があるのかとか、そういうことを読みながら話を進める。1 時間程の会談も、終わると相当の疲労感。
でも、そんな時に嬉しいのが、必ずといっていいほどカンボジア人の高官クラスの方々は、お見送りの際に私に声をかけて下さるのだ。「通訳よかったよ。ますます上手になるね」。周りにいる部下の方々も寄ってきて、「名刺ちょうだい。次に日本人のお客様が来たら声かけるよ。1 日いくら?」なんて言ってくれる。そうやって、認められたとき、やっぱり嬉しいですね。誰でも。
だからやめられない。褒められることもそうだけど、私を介してその場の会話が盛り上がり、親交が深まる。いろいろな場面で通訳をさせていただくが、そこに一番の醍醐味を感じる。多分、世界中の多くの通訳さんがそれを感じてこの生業を営んでいるのではないだろうか。
通訳の資質? そうねぇ。自分のことを顧みず相手の立場になれる人、ある意味お節介で、おしゃべりで、目の前にあるもの(人)に興味がある。そんな人は通訳に向いている。できれば事前勉強に発声練習(カラオケ)も入れられるとなお良し!?
そんな通訳としての道を、2016年、わたしはまだまだ走り続ける予定です。でも、ちょっとは家のこと、猫のこともできる時間を持ちたいな…。それは欲張りすぎかしら。
2016.2-3月号(第81号)掲載
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