伝統を大切にしながら迎えたクメール正月。新年の女神様が降臨する時間や家族と過ごす時間を大切にするクメール人は、正月の準備に多くの時間をかける。各家庭で万全の準備のもとで正月ムードが演出されるが、その準備にはどのようなものがあるのだろうか。
新年の女神様から幸福を授かるための準備とは?
新年を迎えるために、クメールの人々は家の大掃除や家の正面に飾り付けをし、新年の供え物を置くテーブルを設置したりする。日本でいう元日は「モハー・ソンクラン」の日といい、降臨してくる女神をお迎えし、幸福を授かるために、自宅の正面玄関ではさまざまな装飾品や色とりどりの照明が施される。
正月の供え物は基本的にどんなものがあれば良い?
綺麗なお水とお花を入れる瓶や器、キャンドル5本、線香5本、ココナツの実、飲み物、ケーキ、果物などをテーブルに盛り付ける。その年の占いで定められた時刻に新年の女神が降臨すると、家族揃ってお供え物のテーブルの前でお祈りをする。
お正月の楽しみは?
家族が揃って過ごす時間もとても重視されるが、近所の人との交流を楽しむクメールの若者たちは地元の広場などで伝統のゲームや踊りなど楽しむ。
だれでも水かけをしていいの?
通行人や乗り物に乗っている人に向けての水かけの行為は非常に危険で、過去に様々な事故が起来ているため、通行人や走行中の人への水かけは禁止されている。各自治体の決まりにより異なるが、特定のエリアや公園など、大勢の人が集まるところで水かけ(ベビーパウダーかけなど)を行うのは可能である。田舎の村では、自宅前のあまり通行人が多くない道路で水かけをしたりする姿が見られる。
注目:地域によって大規模な水かけ祭りを行い、大勢の若者が集まる水かけのイベントがある。このようなイベントを開催する州としてよく知られているのはスヴァイリェン州やカンポット州、コンポンスプー州など。イベントの開催は毎年その州政府の許可の元で行うと言う。イベント参加者が互いに水やベビーパウダーかけをする他、グッズや飲食の販売ブース、ゲームエリア、クメール伝統音楽にあわせた踊りなど、正月の楽しい時間を過ごす。
親孝行、善い行いの見せどころ?!
親孝行をすることはクメールの人々の心に深く根付いている。そのため、正月は子供が親に、若者がお年寄りの人に、お金持ちの人が貧困の人に、お金なり、衣服なり、食べ物なりを与える習慣がある。親孝行や困っている人を助けることにより功徳を積み、現生と来世にわたる幸福が得られると信じられている。
クメール人が思う新年の意味とは?
新年にはこのような考え方がある。1年の生活の中で、人生には不幸や不運、悲しみ、病や自然災害などに遭遇する。そのため、そのような不安や不幸なことを払い落とすという意味を込めて、新年を迎えて気持ちを改めてる。新しい服を身に付けて、新年の幸福や繁栄など得るために新年の女神様を丁寧にお迎えするのである。
他方、生計を立てるために家族や友人から離れて暮らしている人は、クメール正月の休暇で故郷へ帰省するのが一般的である。旧年の仕事や商売などの疲れを癒すために、家族や親戚、近所の知り合いとゆったり過ごすのが一般的である。正月の休暇を終えてリフレッシュし、新たな気持ちで日々の生活や仕事、商売などを営み続けていく。このような考えがクメール人の心の中に深く刻まれており、個人の業績や健康のみならず、親戚や友達、近所の知り合いとの愛と友情の精神を育み、クメール民族としての団結を築く要素にもなるという。だからこそ、クメール正月は家族が集まるだけでなく、村の人々が寺や広場などに集まり、みなで正月のイベントを楽しみ、新年を祝うのである。
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