それぞれの地域に生育する薬草植物には特徴がある。例えば、コンポンチュナン州とプルサット州には胃・腸に効く薬草の植物が多いが、海に近いシアヌークビルやコッコン州には鎮痛(ថ្នាំសសៃ)に効く薬草植物が多いという。コンポンチュナン州で薬草植物を約15年間採り続けているソック・ペーンさん(43)に薬草採取の仕事について話を聞いてみた。
薬草植物は、乾季か雨季かによってその生育が異なるため、季節によって採取の対象が異なる。自然の中に豊富な薬草植物が広がり、また種類が多いため、たいてい、村人に採ってもらうのが一般的だという。「やり方としては植物に詳しい人が村にいるため、その人たちに依頼するか、採取を手伝いたい人を探して薬草植物の特徴を教えながら一緒に採っていくやり方もあります。ある程度教えた後は、その人に私の顧客が注文した対象の植物を定期的に採ってもらったりしています。」
採取した植物をチェックして乾燥し、加工と保存する。ペーンさんは長きにわたってこの作業をやり続けてきた。そして、新型コロナウイルス感染症が発生する直前には、約2万ドルの貯金で大きな倉庫を建てたという。顧客と販売価格について次のように教えてくれた。「たいていプノンペンの薬草師から注文を受けています。注文が来たら、山で村人にその植物の特徴を教えて採ってもらいます。うちでは多種で大量な薬草植物を扱っているので、プノンペンばかりでなく、他の州からも注文があります。出荷時は数百キロから1000キロ程度の単位で発送します。そして、大抵はどの薬草でも1キロ当たり1000リエル程度で販売しています。」
15年前にこの仕事を始めたきっかけについては、近所に住む人々が薬草探しの依頼をうけていた光景を目の当たりにしていたからだという。「当時、近所には薬草販売者がいました。その方のところに色々な人が薬草を求めてやってきて、私にもこのあたりの薬草の情報を聞いていました。そういうことから、私が住んでいる地域は薬草に恵まれているのだということを気付いたため、次第に薬草に関心を持つようになりました。」
薬草になる植物に関する豊富な知識を持つペーンさんは、3人の子供と暮らしている。現在、医学の勉強のため長男をプノンペンの医学大学へ進学させている。将来、クメールの伝統薬草と近代の医学を上手く活用して多くのクメール人の病気を治す憧れの職に就いてほしいという夢を託しているそうだ。
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