サーン・パーンさん(46)はサェンソック区プノンペントマイ地区のインターナショナル大学(医学大学)付近でお好み焼きの可動式屋台での販売をしている。おやつとして、主食として食べられるカンボジア風お好み焼き。お好み焼きを販売していた母親を幼い頃から手伝って来た奥さんのタイ・トンさん(39)と結婚して以来、20年前から現在までこのお好み焼き販売を続けているという。時代の流れとともに、より客が集まる場所に移動しながら商売をしたほうが良いと思い、3年前から屋台を可動式に改造し、住宅地やビアガーデン、学校、市場周辺を中心に、朝晩、1日2回販売をしている夫婦二人のお好み焼き販売の状況をご紹介したい。
明け方の3時頃に夫婦揃ってダムコー市場へ行き、入荷したてのレタスや香草類を仕入れる。カンボジア風お好み焼きの食べ方としてはレタスにキュウリ、多種の香草、米の粉でできたお好み焼きの衣とひき肉のあんを乗せ、タレにつけて食べる。お好み焼きのあん自体を美味しく工夫するのも大事だが、レタスなどの新鮮な葉物野菜と香草を加えるのも大切だという。そのため、日々の販売に欠かせない新鮮な野菜を仕入れることを心がけている。
パーンさんがカンボジア風お好み焼きのレシピのコツを教えてくれた。「美味しいお好み焼きを仕上げるポイントは、クリスピーな衣を作ることです。そのためには堅いコメ(水分が少ないコメ)を使用しないといけません。私たちはそのようなコメをきちんと提供してくれる田舎のコメの専門業者のみから仕入れています」
可動式屋台での販売を始めて約3年、プノンペントマイ地区を点々と移動しながら販売しているパーンさん夫婦。元々は妻が一定の場所で販売していたが、寄ってくれる顧客の数が増えず、収入も増えないため、3年前からこの移動の屋台を始めたのだという。
住民の好みに合うお好み焼きの人気の裏にはもう一つのコツがあるという。それはタレだ。自家製のお酢使って工夫を凝らしたタレこそが、美味しいお好み焼きをさらに引き立てる立役者なのだ。
毎日、朝の7時前から朝ご飯を食べる人が集まる市場周辺へお好み焼き屋台を移動させ、9時前後の時間帯で朝の販売が終了し、午後は2時から販売を再開する。「午前中の販売は工場や会社に勤める人や学生、市場周辺の住民を対象にしています。昼休みをとって午後2時頃にまた屋台を移動し、常連客が多い住宅地エリアを周ります。そして、5時頃になったら再び市場周辺に向かいます。この時間帯は帰宅する工員や会社員、学生などがちょうどお腹を空かせている時間帯ですから、一番売れます」
おやつでも晩ご飯の主食としても食べられているというお好み焼き。自分のお好み焼きが好まれるもう一つのコツがあるというパーンさん。それは心の優しさを持つことだという。「妻はこのお好み焼き販売を20年以上やっています。バイクを停めて買ってくれるのは、学生を含めて低所得者の人々です。市場の物価の変動で野菜がいくら高くなっても、販売価格は維持しています。大儲けを考えるより、多くの住民に喜んで美味しく食べてもらえることが、我々が望んでいることなんです!」
パーンさん夫婦は、74歳を迎えて体が弱ってきた母親の世話をしながら大学生となった2人の子供を育ててきた。お好み焼き販売を始めた母親の後継者として20年以上このお好み焼き販売をやってきたパーンさん夫婦。今後も多くの住民に喜んでもらえるように、安価で美味しくお腹いっぱい食べられるこのお好み焼き販売を頑張り続けていきたいという。
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