クメールの伝統治療に欠かせない薬草となる植物が各地に数多く生育している熱帯カンボジア。薬草になる植物は、茎、樹皮、葉、根、果実、あるいはつるの塊茎など、あらゆる部位が利用できる。以下は、クメール人の間でよく知られ、一般的に使用されている薬用植物だ。(注:下記に記載した情報はニョニュムスタッフが現地で調べるなかで得た情報であり、病人の現状などによっては使用の前に薬剤師との再確認が必要。記載した情報は環境大臣であるEANG SOPHALETH氏が公開したサイトから引用したものである)
薬用植物:
植物名: チャンペイ・クラホム(ចំប៉ីក្រហម)
治療:マラリア、咳、肺の緩和、便通、淋病、喘息、下痢、軟便、帯状疱疹、性 病。
使用部位:葉、花、種子、樹皮
作り方:
葉:葉は火で軽く焙って炎症の治療に使用される。お湯を沸かして茶のように飲むと喘息の治療に適用できる。
花:マラリアの治療、咳、肺の補助
種:便を柔らかくする、帯状疱疹、性病
樹皮:湯で煎じて茶のように飲むと、下痢や淋病、発熱の治療、利尿剤としても適用できる。
使用法 : 花の部分を1日あたり10〜15グラム煎じて茶のように飲む。
樹皮と葉の部分を1日あたり15〜30グラム煮て茶のように飲む。
植物名: クラウドグラス(ស្មៅត្រឡប់ពពក)
学名:Desmodium styracifolium (Osb.) Merr.
種: マメ科 (FABACEAE)
治療: 胸やけ
使用部位:根と茎
使用法:乾燥させてから15〜60グラムを茶として沸騰させ飲む。
禁止事項:妊娠中の女性は使用禁止。
植物名:砂糖ヤシの雄花(ផ្កាត្នោតឈ្មោល)
治療:肝臓病の治癒を助け、腎臓をある程度助ける。
作り方:砂糖ヤシの雄花のカットし、炒ったり、乾燥したりする。
使用法: 定期的に茶として煎じて飲む。
植物名:アテモヤ(葉の部分)(ស្លឹកទៀបបារាំង)
治療:貧血
作り方:1リットルの水を沸騰させ、生または乾燥したアテモヤの葉15枚を入れて煮込む。水が半分減るまで煮込む。(រំងាស់ទឹកពីរយកទឹកមួយ )
使用法:毎日、朝と昼、晩の1日3回、1杯ずつ飲む。
副作用:発熱したら水をたくさん飲むこと。使用して2か4週間後に効果が出ると言われている。
クメールの僧侶がお勧めするクメール薬草
ワット・プラサート・ロルム・チュレイに住むヒー・ソパリン僧侶によると、タマリンドの雑草(ដើមអំពិលប្រក់ផ្លែ)、象の鼻と呼ばれる雑草(ដើមប្រមោយដំរី)、ウサギの耳と呼ばれる雑草(ត្រចៀកទន្សាយ)、風船のトマトと呼ばれる雑草(ប៉េងប៉ោះស្រោម)を乾燥させ、毎日一掴みとり、沸騰した2リットルの水に煮込んで茶として飲むと、発熱とマラリア、高血圧、衰弱症に効くという。
他方、クメールの薬草は他の薬草を組み合わせて扱うのが一般的である。薬草の組み合わせは病人の病状や薬草師・薬剤師により、いろいろなレシピがあるという。薬草による伝統治療の他には、昔は薬草を飲む前に線香で神の祈りをする信仰もあるという(現在でも遠い片田舎で行われている)。
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