「世界一おいしい胡椒」をもう一度
KURATA PEPPER
クラタペッパー
香り高く風味豊かなカンボジアの胡椒。1960年代には“世界一おいしい胡椒”として知られ豊富な生産量を誇っていたが、内戦によって生産量は激減し、品質も低下。絶滅の危機に瀕していた。
90年代初頭からボランティア活動でカンボジアを訪れるようになった倉田さんは、「カンボジアの農業を立て直したい」と貿易会社を起こしたものの、輸出に適した作物をなかなか見つけられずにいた。そんな中、手にした60年代の貿易資料に、カンボジアの主力農産品の1つとして「胡椒」が挙げられていた。胡椒の輸出を考えて産地を訪ねると、農園は内戦中に野放しにされほぼ壊滅状態になっていたが、奇跡的に生き残った数本の苗に出会う。これに心を突き動かされた倉田さんは、栽培から始めることを決意。1997年、コッコン州のカルダンモン山脈の麓で、地元の農家とともに伝統的な自然農法による胡椒作りを開始した。
こうして生まれた「KURATA PEPPER」は、しばらく続いた危機的な赤字状態をなんとか乗り越えて徐々に知名度を上げ、今では押しも押されぬカンボジア土産の代表格に。カンボジアが誇るスパイスとして日本をはじめ国外への輸出も行っている。かつてKURATA PEPPERの自社農園で働いていた人たちが独立して自分の農園を持ち、そこから買い取れるようになるなど、確実に現地で胡椒が産業として広がっている。
「気がついたら胡椒屋になっていました」と笑う倉田さん。貿易業の経験とコッコンでの胡椒作りで培ったノウハウを生かし、自社のライバルともなりうる別ブランド「カンポットペッパー」復活に向けたガイドライン策定にも協力するなど、カンボジア全体の胡椒産業の発展に貢献している。
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