(日本語) NyoNyum105号特集:③国民のものとしての「古典舞踊」へ
(日本語) NyoNyum105号特集:③国民のものとしての「古典舞踊」へ
2020.03.04

NyoNyum105号の特集「クメールの魂を踊りに込めて」がWEBでも読めます。

昨年11月18日、ご逝去されたノロドム・ボッパーテヴィ王女はカンボジアの古典舞踊(宮廷舞踊)を広く国内、世界に広めたことで大きな偉業を成し遂げた方です。

その功績に心からの敬意を表し、カンボジアの舞踊にまつわるあれこれをお伝えします。

3回目の今回は、ノロドム・ボッパーテヴィ王女の活躍によって、国民に広く受け入れられるようになった宮廷舞踊を伝承する取り組みと、体験できる場所について。

国民のものとしての「古典舞踊」へ

現在、古典舞踊は民俗舞踊とともに国民の間で親しまれています。美しい立ち振る舞いにあこがれて、幼少期から舞踊を習う少女たちも多いとか。

各地で様々な文化団体やNGOが子供たちに舞踊を教えている中、文化・芸術省の傘下にある各種学校施設でも、次世代の後継者を育てる活動を繰り広げています。

王立芸術大学

【学部】 舞踊学部 Faculty of Choreographic Arts មហាវិទ្យាល័យសិល្បៈនាដសាស្ត

【コース】 4年制 【学生数】 約100人 【講師数】 約20人

【見学】 可能

【主な活動内容】
王立芸術大学の学部の1つ。芝居の監督、舞踊・サーカスの演者・振付師育成を行う。

王立芸術大学

住所
:Corner of St.19 & St.178, Sangkat Chey Chamnea, Khan Dong, Penh, Phnom Penh
連絡先:023-986-417

舞踊中等学校

【コース】 舞踊科

【学生数】 約300人

【講師数】 約20人

【見 学】 可能だが事前連絡が必要。舞踊などの学習は午前中のみ。

【主な活動内容】
学生は小学4年生から入学可能。所属科目により入学年齢と学習期間がそれぞれ違う。

例えば、古典舞踊科と古典音楽科には小学4年生から入学が可能で、卒業までの学習機関は9年間。

伝統舞踊と伝統音楽科には6年生から入校が可能で、卒業までの学習期間は7年間。

舞踊中等学校

住所:Oknha Mong Reththy St. (1928), Phnom Penh 12101
連絡先:023-672-6789 / 012-890-797

文化芸術省・舞台芸術局

【所属舞踊家数】 イベントの際に集められる。

【見学】可能だが、事前の問い合わせが必要。定期的な稽古はない。

【主な活動内容】
国家の行事や国賓を迎える際などに全国からプロの舞踊家を集め、古典と伝統の舞踊と芝居、サーカスなどを稽古する部署。

文化芸術省・舞台芸術局

住所:St. 173, behind the Spak, Tuol Svay Prey I, 12308, Phnom Penh
連絡先:012-828-406

こんな場所でも観られる!体験できる!

美しいクメールの古典舞踊。ただうっとり見ているだけでは物足りない!でも今さら芸大に入るわけにもいかないし…。そんなあなたに気軽に古典舞踊に触れられる場所をご紹介します。

日本舞踊のように下半身に重心を置き、足を擦りながらゆっくりとした所作を必要とする舞踊を習えば、精神の鍛練のみならずシェイプアップも間違いなし!?

カンボジア・リビング・アーツ

カンボジア・リビング・アーツは、カンボジアの伝統・民俗芸能を継承・発信することを主な目的として活動する団体。

次世代のアーティスト育成のほか、一般の人々に向けた舞踊教室を行っている。

興味のある方はぜひ一度公演を見て、教室に参加してみよう!

見る

プノンペンの国立博物館敷地内にある劇場では、毎日午後7時から約1時間のダンスショーが開催されている。

アンコールワットの回廊に浮き彫りがあるヒンドゥー教の天地創造神話の「乳海攪拌」、攪拌によって生まれた「アプラサ」の踊り、水の女神「モニメカラ」が雨乞いを行う舞いなど、古典舞踊3種類が見られる。

またこの1時間のショーは、カンボジアの農村部の暮らしが垣間見られる民俗舞踊や伝統楽器の演奏など5種類も合わさった構成で、伝統芸能から庶民の文化まで存分に楽しめるものとなっている。

チケット代金:大人料金(カッコ内:子供料金)
A席:25ドル(15ドル) B 席;20ドル(12ドル) C席:15ドル(9ドル)
※現地、オンラインでの購入が可能

体験する

一般の人々向けの舞踊体験は毎日開催。初心者でも親切丁寧に指導してくれるので参加者からも好評だ。

90分のワークショップでは以下の舞踊を学び、体験できる。

また、ダンサーの衣装のひとつ「クバン(1枚の長い布を腰から足に巻き付けて着る民族衣装)」を着ることもできる。

料金は15ドル(*チケットはオンラインでも購入可)。

・ダンサーが毎日練習するストレッチの基本
・手のジェスチャーの意味
・民俗舞踊の基本
・古典舞踊の基本
・社交ダンスの基本

開催日時:毎日(クメール正月、プチュンバンを除く)
●ダンスショー 19:00-20:00
●ワークショップ 15:00-16:30
場所:国立博物館(プノンペン)

各種問い合わせ:017-998-570

カンボジア舞踊教室「SAKARAK(サカラッ)」

日本でも、カンボジアの古典舞踊を学べる場があるのをご存じだろうか。

故ボッパーテヴィ王女から正式にクメール古典舞踊家として認められた日本人の山中ひとみさんが、日本で公演や舞踊教室の活動を行っている。

【団体概要 】

2006年設立。山中さんがカンボジア王立芸術大学で学んだことを、日本でも紹介したいと思って始めたのがきっかけ。

現在、東京を中心に、大阪(年2回の短期集中講座)でも古典舞踊の教室を開いている。

大使館や各種イベントで踊りを披露しながら、毎年5月に東京・代々木公園で開催されているカンボジアフェスティバルにも参加。

また、カンボジア・日本の5年ごとの友好周年には自主公演を開催し、2018年には王立芸術大学で初の日本古典文学を題材にしたカンボジア古典舞踊を創作披露し、カンボジアの人々から好評を得た。

問い合わせ先
山中ひとみ Tel:+81-3-6801-8775
e-mail:sakarak@asahinet.jp
Web:www.ne.jp/asahi/sakarak/cambodia/

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

関連記事

教師の職について現役の先生が語る

2024.09.13 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物

親から見た教師のキャリアとは?

2024.08.30 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物

教員養成学校の学生、思いを語る

2024.08.23 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物

おすすめ記事