人は食うために働く。カンボジア人のそんな姿を切り取るニョニョムでおなじみのコーナー「カーロッシー(食いぶち探し)」。今回はプノンペンでココナッツ売りをしているキァさんを取材してきました。
カーロッシーとは?
生活情報誌NyoNyumで長年人気を誇るコーナー「カーロッシー」。人は何のために働くのか。カンボジアの人々の答えは明快、「食うため」。彼らは、働くことを「カーロッシー(食いぶち探し)」と呼ぶ。汗と涙を流しながらも、日々淡々と行われるその営みを紹介する。
ココナッツ売りは意外と重労働!?
カンボジアは、ある店が流行ると同じ業種の店が周囲に乱立して固まって営業を行う習慣がある。
たとえばマッサージ店、たとえば薬局、たとえば印刷屋…。
プノンペンの63 通り、シラップ市場の近くには、道路にはみ出さんばかりにココナッツが山積みになった店がたくさん並んでいる場所がある。
ここでココナッツを売る店主の一人が、パット・キァさん(56)だ。
もともと、プノンペンで氷の販売をしていたキァさん。23 歳で結婚してからもしばらく続けていたが、自宅のあるシラップ市場近くにどんどんココナッツを売る店が増えていくのを見て、「この波に乗らねば」と、30 歳の時に自らも続いた。
この商売を始めてみてわかったのが、とにかく重労働だということ。
前の仕事で氷を持ち上げていたので慣れていたつもりだったが、何百個ものココナッツを毎日陳列して、皮をむいたり、きれいに磨いたりするのは、時間もかかって想像以上に大変だったそうだ。
「ココナッツを運んでくるトラックが日中は道をふさいでしまうので来ることができず、夜遅くに自宅に届くこともなかなか体が休まった気がしない要因でした」。
1日の販売数と月収
いろいろ大変なことはあるが、さすがプノンペンでココナッツ通りとして有名な場所の一つ。
毎日朝7 時から夜10時の営業の中で、100 個から200 個は安定して売れるそうだ。
扱っているココナッツは2 種類で、一つは皮付きのままよく移動式のリヤカーに載せて販売されているのと同じ大ぶりのココナッツで、1 個3,000 リエル(約0.75ドル)。
もう一つは、それよりふた回りほど小ぶりのもので、1 個4,000 リエル(約1ドル)。
こちらは、皮をむくと白くてまん丸な形が美しいので、通常皮をむいた状態で販売されている。
小さくても香りがいいのと、包丁と機械を使って皮をむくというひと手間で、より高い値が付けられているそうだ。
話だけ聞くとすごく儲かっているのかと思いきや、経費などを除くと意外にも月の収入は200 ドルほどだと話す。
大切なのはお客様とのコミュニケーション
ココナッツの有名通りで営業するということは、周りにライバルも多いということ。
それについては、「ココナッツの品質自体はどの店も正直そんなに変わらないと思います。だから、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。それで、私自身を気に入ってくれれば、次回も自分の店を選んでくれると信じています」というのが、キァさんの考えだ。
店舗情報
キァさんの店はココナッツ屋が集まる63 通りの一角にある。朝から晩まで、いろんな人が通りすがりにバイクを停めて買っていく
Tel: 012-694-025
※プノンペン内、デリバリー可
ニックネーム:チャンラ
NyoNyum Magazine Designer
ウドン出身。2016年入社の26歳。日本とカンボジアを繋ぐ雑誌NyoNyum、日本のことをカンボジア人に紹介するNyoNyum Khmerのデザイナー。たまに記事も。現在、デザインと日本語を日々、勉強中。好きな日本語は「なんでしょう」「そうですね」。趣味はFacebookに奥さんとのラブラブな写真を投稿をすること。
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