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辛い経験をしたカンボジア人だからこそ、幸せになってもらいたい ~三上正裕大使 特別インタビュー~

2019 年9 月1 日、三上正裕駐カンボジア日本国特命全権大使が着任されました。

大使館のFacebook ページでクメール語によるビデオメッセージを発信したり、カンボジア政府関係者と会談を行ったり、日々精力的にカンボジアと日本の友好関係発展のために公務に臨まれている大使。

ニョニュム編集部のノップ・ヴィサール、インターンの中村征志郎が、大使の魅力に迫りました。

 

カンボジアとの縁

日本政府からの任命を受けてカンボジアの日本大使として着任したわけですが、まったくご縁がない国だったわけではありません。

2000年代初めにバンコクの日本大使館で2年半勤めていたときに、2002年のASEAN関連首脳会議でプノンペンに、そして家族旅行でシェムリアップに来たことがありました。

当時のプノンペンは高層ビルもなく、車も少なかった気がします。それが今は非常に発展した様子に驚いています。

シェムリアップの思い出としては、妻が大きなアプサラのレリーフを気に入って購入し、日本の自宅にずっと飾ってあります。

また、当時1歳くらいで小さかった娘を連れての観光で、娘を抱っこして汗びっしょりになりながらアンコールワットの急な階段を上りました。

今、娘は大学生となり、この2月から3月にはシェムリアップの中学校でインターンをしていたんですよ。カンボジアと娘の成長が重なり合い、感慨深いものがありました。

 

大使館での業務

草の根無償資金協力によりカンポットに建設された幼稚園にて(昨年12月)

外交活動とカンボジアに滞在する日本人の保護・援護が大きな仕事になります。たとえば、政府関係者やさまざまな組織の方と会って、今後の協力関係に関する会談・協議を行います。

カンボジア政府との面会や式典参加、在留邦人や日系企業・NGOの方々、各国の大使などとの面会が毎日1つか2つは必ずあります。ご招待いただく式典や面会にはできる限り対応するようにしています。

時には客人を公邸での昼食会や夕食会にお招きしたり、日本からの議員や政府関係者がカンボジア政府高官などと面会する際に同席することもあります。

 

休日の過ごし方

大使館の休みは土日と決まっていますが、私自身は土日の行事にも招待されることが多く、定期的な休みというものがあまりありません。

休める日には在住日本人の方々とのゴルフコンペに出たり、ジムに行ったり、プールで泳いだり、読書をして過ごしています。

もうすぐ妻も来る予定ですが、今は1人で暮らしているのでイオンに行って生活用品の買い物をしたりもしますよ。

また地方出張も結構あって、この間はシェムリアップの遺跡修復作業の視察やポイペトにできた日系企業の工場の開所式にも行きました。

 

カンボジア生活で不便に感じるところ

大きな大使公邸に1 人で住むのは良いだろうと言われますが、意外と不便なんです。

ちょっと街まで出かけようにもずいぶん歩かないといけません。街歩きをして風景を見たり、人と接することが好きなのですが、周囲の歩道は歩きにくく、ちょっと残念ですね。

 

カンボジアのお気に入りスポット

やはり遺跡でしょうか。アンコールワットやバイヨン、タ・プロームといった有名なところは知っていましたが、世界遺産に登録されてまだ新しいサンボープレイクックやタイとの国境にあるプレアヴィヒア、ベンメリアや東洋のモナリザがあるバンテアイスレイなどにも行き、その素晴らしさを体験することができました。

他の遺跡も機会を見つけてぜひ行きたいと思っています。地方に行って、カンボジアの田舎の風景や人々の生活の様子を垣間見ることも好きですね。

 

好きなカンボジアの食べ物

全般的に美味しいと思いますが、手軽なものでいうと「クイティゥ」が好きですね。

日本で麺というと昼や深夜に食べることが多いですが、クイティゥは朝食として食べられているので驚きました。こちらで生活していると、朝起きるとまずクイティゥを食べたくなります。

またフルーツも美味しいですね。日本で食べられないジャックフルーツやロンガン、ココナッツジュースが特に好きです。胡椒もとても風味が良くて、いろいろな料理に入れています。

 

クメール語の勉強

クメール語は週に1回、先生に教えていただいています。大使館のFacebookページで、クメール語でメッセージを動画配信しているので、先生と一緒に原稿を覚えるために何度も読む練習をして頑張っています。

半年くらい経っているので、暗記した単語も結構増えました。これからはスピーチするだけでなく、カンボジアの人たちと簡単な会話なら自分でできるようになりたいですね。

外務省に入ってからこれまで、イギリス、エジプト、アメリカ(ワシントンDC)、タイ、中国(北京)に勤務しました。

どの言語も流暢に使えるようになるのは難しいですが、言葉を勉強することは単にコミュニケーションの手段だけでなく、その国の文化や人の考え方など、さまざまなことを学ぶことにつながるので面白いです。

外国へ行ったら、その国の言葉をできるだけ勉強するのをお勧めします。

 

カンボジアの魅力

カンボジアは若い人が多いのが印象的ですが、特に子どもたちの笑顔はすごく魅力的に感じますね。

今の日本ではちょっと見かけられないような、純粋な輝きに出会うことがあります。

また、経済や生活がどんどん良くなっていくというエネルギーやダイナミズムが感じられるのも魅力的です。

今のカンボジアの様子は1970年代に私が見た日本の風景に似ているような気もします。

1945年に終戦を迎えた日本の20、30年後の発展段階と、1991年にパリ和平協定を結んで内戦が終結し発展してきたカンボジアの現在の様子には、共通する部分があるように見えます。

そしてそこには、国が急速に発展している段階だからこそ克服しないといけないさまざまな問題もあると思いますね。

 

カンボジアの未来

キリングフィールドにて(昨年9月)

カンボジアは経済成長率7% 前後の高い成長を続けており政府の財源も増えて豊かになる一方で、社会経済における多種多様な問題も増えていくと思います。

それらを解決するためにも、経済成長による富を国民全体のために還元・分配していくことが必要です。そういった政策をうまくカンボジア政府に実行してほしいと思います。

カンボジアはクメール・ルージュの支配や内戦時代の悲劇で多くの人が辛い思いをしたと思います。そういった人たちだからこそ、幸せになってほしいと思っています。

そのための活動を応援したいと思っているので、仕事として経済協力などの形で関わることができるのはとてもうれしいです。

カンボジアの人々や政府のみなさんが親切で日本のことを重視してくれているので大使としては仕事がやりやすく、とてもありがたく感じています。

これは、現在までの日本の活動に対する感謝とこれからの支援への期待の表れだと思っていますので、引き続きこの関係を続けられるようにしたいです。

外交的な面では、カンボジア政府が特定の国だけに偏って関係を強めるよりは、いろいろな国と同じように友好関係を築くのが重要だと思います。

政治に関しては、自由や人権の尊重、法の支配、グッドガバナンスなどという価値や原則を、カンボジアなりの民主主義の中で育てていっていただきたいですね。

国によって文化の違い、歴史背景の違いなどがあるので、カンボジアなりに成長していくことが一番良いと思います。それを日本として支援していきたいと考えています。