General Hanuman and the Upside-down Mountain
General Hanuman and the Upside-down Mountain
2018.03.22

2月10日に発行したカンボジア現地情報誌NyoNyum 93号内の特集記事をWEBでも紹介♪


カンボジア昔話①「将軍ハヌマーンと逆さの山」

●シェムリアップ州・プノンクロムに伝わるお話●

 

 

ある日、猿の将軍ハヌマーンは国王のプレア・リァムより任務を賜りました。それはジャイアントビリープの矢で傷ついた王の弟、プレア・レァの治療のために、薬の木を見つけてくるというものでした。

ハヌマーンがまだ普通の猿だった頃から親しい友人だった王様は、探している薬の木が「チョンクロン・スワー」、すなわち“猿の木”であるということを言えませんでした。王様はハヌマーンが「猿」という言葉を聞いてバカにされたと落胆し、薬の木を探しに行くことをやめてしまうのではと心配したからです。

一方、ハヌマーンは、薬の木を見つけ王様の元に持ってきました。しかしそれは王様の求めた木ではありませんでした。それからハヌマーンはほかの薬の木を見つけ再び王の元へ参りましたが、二度目の木も王様の求めた薬の木ではなく、三度目も結果は同じでした。

そこでハヌマーンは「トロンバット山」の半分を切りとり、今度はプレア・リァム王自身に薬の木を見つけてもらうことにしました。王様はその中からお目当てだった“猿の木”と呼ばれる薬の木を見つけ出しました。ハヌマーンは「王様が探していたのは、この木なのですか?」と落胆して言いました。それは有名な薬の木で、誰もがその名前を知っていたからです。「初めからわかっていれば、山の半分も持ってくることはなかったのに」とうっかり愚痴を言ってしまいました。

弟のプレア・レァが回復したあと、山はもはや必要なく、王様はハヌマーンにこれを元に戻してくるように言いました。山が元々あった場所はとても遠い場所です。そしてハヌマーンの怠惰な性格もあり、運命にまかせ山半分を適当に放り投げることに決めました。ハヌマーンは力いっぱいに山を放り投げ、山は現在の位置へ。しかし上下が逆さまになってしまいました。元々山の頂上だった部分が下に、そしてハヌマーンが切り取った山の中腹が新しく山頂になり「プノンクロム(プノン=山、クロム=下)」となりましたとさ。

<おしまい>

 

お話の舞台を訪ねよう 【シェムリアップ州プノンクロム】

カンボジア随一の観光都市、シェムリアップ。街の中心部から北へ行けばアンコール遺跡群、南へ行くと水上集落で有名なトンレサップ湖がある。湖にたどり着く少し手前に標高約140メートルの小高い山がある。これがこのお話の舞台、「プノンクロム」だ。

真ん中に小さく見える丘のような山がプノンクロム。湖と水田に囲まれている

ここを訪れる旅行者は多くないが、夕日観賞スポットとして有名な「プノンバケン(バケン山)」同様、山頂にはヒンドゥー寺院の遺跡が残り、知る人ぞ知る夕日観賞スポットでもある。特に雨季には増水して大きくなった湖と水田に囲まれ、晴れていれば、空+水面に映り込む夕日と夕焼けで辺り一帯がオレンジ色に染まる。遺跡や夕日を目当てにこの山を訪れた際には、この昔話を思い出して“猿の木”を探してみては? 薬の木「チョンクロン・スワー」は今でも山に自生し、クルクメールと呼ばれるカンボジアの伝統医療師もこの薬の木を求めてやってくるそう。きっと地元の人に聞けば教えてもらえるはず。

プノンクロムから眺めた夕日

 

ACCESS

プノンペンから
国道6号線を通って陸路、または国内線の飛行機でシェムリアップへ。街の中心部からプノンクロムまでは約12キロ、車で20分程度で到着する(※乾季と雨季で道の状況が変わり多少前後する)。

 

 

~土地に伝わる話を探して~
 

今回紹介したお話、じつは日本の団体「一般社団法人ホワイトベース」が集めたもの。カンボジア各地を訪ね歩き、土地に伝わる昔話を聞き取って物語にまとめる「カンボジア民話発掘・保存プロジェクト(CAMBODIA FOLKLOREARCHIVE)」という活動を行っている。同団体の代表を務める石子貴久さんに話を聞いた。「この活動を始めたのは2012 年頃。本屋をのぞくといくつか児童用の絵本はありましたが、多くは近隣諸国の昔話やどこかの童話のリメイク版のようなもの。“カンボジアの昔話” と言えるオリジナルの話は少ないのが現状でした」。そこで、まだ口頭伝承でしか伝えられていない地方の民話、伝説、昔話などを土地の老人にヒアリングし、絵本化することを思い立ったという。各地を訪ね歩くと、地元では有名でも全国的には知られていない、その土地の歴史や文化、風土に根ざした話に出会えた。聞き取った話をまとめたら、自ら絵を描いて紙芝居に。日本の若者たちといっしょにカンボジアの小学校を訪れ、地元の子供たちといっしょに絵に色をつけて紙芝居を上演する活動も行っている。「当初から比べると、最近ではカンボジアの本屋にもいろんな本が並ぶようになりました。私たちの団体が集めた各地の話もそこに並ぶのが目標です。昔話の発掘、伝播活動を通してカンボジアの文化復興にも貢献できたら」と語る。

※その他の活動詳細はこちら

 

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