実はカヌー団には出身地方からのスポンサーがいる。たいていは自治体が支援を行い、プノンペンに上京してからも大臣や上級大臣、ビジネス界の資産家、民間の会社などからのスポンサーも受けられる。3日間の生活が順調に賄えるように様々な支援を受けているという。それと別に優勝を目指して頑張るカヌー選手団の団結とはどんな感じなのか?309号のカヌー団長であるハイ・ベスナーさん(62)と団員の皆さんに聞いてみた。
ベスナーさん(左)と試合に出る直前にカヌー団の選手たちにお祝いをあげた時の様子
Q:今年のご参加は何回目でしょうか。
A:我々のカヌーチームはワット・スラ・チョク寺に所属しているため、昔から代々水祭りのためにプノンペン上京してカヌーレースに出ているため、数えられないほど試合に出ています。
Q:2日目の今日ですが、昨日の試合と今までの訓練はいかがでしょうか。
A:昨日の試合は二回とも勝利を獲得できました。今日はまた午後から昨日勝った他のカヌー団と行うので、勝利を狙っています。二回戦でまた勝利出来たら、最終日の3日目の決戦に出られます。そのため、今日の午前中は通常通り訓練を行っていました。
Q:あなたのカヌー団はどのようなスポンサーを受けていますか。
A:我々のチームはコンポンチュナン州の農林水産局と水産関係の民間企業の他、現地の農村の皆さんからの支援を主に受けています。今年はコンポンチュナン州の農林水産局が我々のチームに200万リエルを応援してくれました。水産関係の民間企業からはプノンペンに上京するために3日間我々のチームメンバーが滞在しているこのフェリーの支援の他に、この3日間の生活に必要なコメやお肉、飲み物などの食料も提供してくれています。そして、プノンペンに上京した数日前は村人からの募金で、160万リエルの他、船の修理など最初から宮内庁の大臣と村の幹部からそれぞれ50万リエルの資金の支援を受けています。そして今もここのプノンペンの他の民間会社から飲み物(エナジードリンク)や食料関係の応援も多少入ってきています。国家祭典委員会からはお水など食料支援と選手たちに一日1万リエル支給してくれます。
Q:カヌーの選手はどんな人を対象に選抜してきましたか。
A:我々のチームが基本は村の青年を対象にボランティアで募集してきました。この水祭りは伝統の行事なので、毎年多くの青年がボランティアで我々の募集に応じてくれています。水泳が出来て、体力も要るので、体力的にチームについていける青年を集めてきました。
Q:子供とお婆さんなど見えますが、ベスナーさんのチームメンバーはどんな感じでしょうか。
A:我々のチームの総員が65人います。メンバーがボランティア中心なので、村のお婆さんたちがシェフをしてくれます。子供連れの選手もいるし、45人定員の選手の他、補欠の選手も10人入れての体制で村からやってきました。
Q:勝利を収めるためのコツとかありますか。
A:団長としてはそれぞれの選手の特徴を把握してカヌーを漕ぐ位置を決めて行くことや皆の体の調子を監視、または管理することを心がけています。炎天下で練習やレースをするので、体力を保つことを何より優先しているので、選手が夜遊びや飲酒などをしないよう、管理を厳しくしています。
Q:奮起のための声掛けの様子を見ましたが、どのようなときにしますか。
A:我々のチームは、トレーニングや試合に出る前に必ずします。選手たちがちゃんと準備が出来ていることを再確認するためと団結力を一つにまとめるために元気よく声掛けしたあと、水をかけたりします。
カヌーの先頭ダンサーとはどんな存在?
チャヌーンさん(73)は、ワット・スラ・チョクの309号のカヌー団のためのプロのカヌーの先頭ダンサーである。カヌーの先頭ダンサーの存在について、次のように明かしてくれた。「カヌーの先頭のダンサーは、ボートのスピードを上げるために、非常に重要です。走行中のカヌーを軽く保ち、カヌーを加速させるために漕ぐ全ての選手のリズムを作ったりします。レースでは常に皆が勝ち負けを必死にいろいろな技、又はトリックなど施したりしますが、私たちはフェアプレーをモットーに、チームのために頑張ります。信仰の面では、私たちの船には女性の霊(魂)が宿っているといわれており、先頭のダンサーである私は嫉妬されます。もし、男性の霊が留まるカヌーなら、その先頭ダンサーが夜遊びとか飲酒とかに出ることができますが、私の場合は、嫉妬深い女性の霊がいるので、いつもそばにいて丁寧に扱わないといけません。」
チャンヌーンさんと自分のそばに常に構えているカヌーのためのお供え物がおいてある
選手の感想:
プーム・カムロスエットプルイさん(26) は今回のカヌー戦は5回目であり、過去の最高位は2位だったという。今回のカヌー大会に対する意欲を語ってくれた。「私たちのチームは十分に準備ができています!団長や大会の組織委員会の指示にもちゃんと聞く耳を持っているし、村の名誉のために、次の試合に精一杯頑張ります!」
カムロスエットプルイ選手とフェリーの上に調理の下準備しているお婆さんたち
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