NyoNyum114号特集:③利用者の声~どんな風に電子決済を暮らしの中で使っている?~
NyoNyum114号特集:③利用者の声~どんな風に電子決済を暮らしの中で使っている?~
2021.10.01

現在カンボジア国内で配布中のカンボジア生活情報誌NyoNyum114号の特集では「カンボジアの電子決済(キャッシュレス)」について紹介しましたがそのWeb版も公開します。

 

電子決済(キャッシュレス)の世界

新型コロナの影響で、カンボジアではこれまで以上に電子決済サービスに注目が集まりました。

紙幣の受け渡しによる感染リスクを避けるため、QR コードによる電子決済は都市部ばかりでなく地方の各地域にも急速な広がりを見せています。

プノンペン都内にあるスーパーマーケットのレジには、銀行や電子マネーサービス、クレジットカード会社のロゴがずらりと並び、先進国に劣らんばかりの電子決済手段の多さ。

しかし、実は、カンボジアで銀行口座や電子決済サービスが普及し始めたのは、ここ10 年ほどのこと。

「銀行にお金を預けるよりもタンス貯金が一番安心!」

そんな考えが根強くあったこの国で、どのようにして電子決済が一般化してきたのか、近年の電子マネーのトレンド、人々がどのように暮らしの中で電子決済サービスを使っているのか、そして、銀行の最新サービスなどなど。

今号の特集では、目まぐるしく発展する、カンボジアの電子決済の世界をのぞいてみます。

 

利用者の声~どんな風に電子決済を暮らしの中で使っている?~

<都市部の人々>

ヨン・ワタナクさん(22 歳)

コンポンチャム州出身、プノンペン在住。保健大学医学専攻の4年生

プノンペンに住み始めてから、買い物の際の会計を銀行カードでできることを知ったそうだ。

「カードやQR コード(モバイルアプリ)など電子決済の選択肢をいくつか持っておくことで、現金がない時でも支払いができて非常に便利です。スーパーなどではもちろん電子決済を利用しますし、映画のチケット購入にも使います。時期によっては、カードで支払うと特別な割引がありますし、自分が知らなくてもその場でキャンペーン情報を教えてくれるお店の人もいます。支払いが簡単な上に、お得になるのが電子決済でいいと思うところです」

コロナ禍で利用頻度の増えたフードデリバリーの支払いにはモバイルアプリを使い、携帯電話のプリペイドチャージもスマホからすることが多いそう。

QR コードで支払った都内のレストラン

一方で、「モバイルアプリから決済するには、先に銀行にお金を入れないといけず、私は親からの仕送りに頼っているので、現金を口座に入れに行く手間が少し面倒に思うこともある」そう。

スーパー以外の日常の細かな買い物などは、現金を使うことがまだ多いという。

 

イエート・サヴォンさん(32 歳)

プノンペン在住。コンサルティング会社CEO

電子決済の利用を始めたのは2018 年頃。使いやすさと手数料無料で決済できる点が気に入り、その頃からよく使っていたが、コロナ後の利用頻度はさらに高くなったという。

「ABA 銀行モバイルアプリの決済サービスが充実していて、機能面も高いのでよく使っています。昨年、国内で陽性者が発生して以降、これまでよりもさらに電子決済サービスのバラエティーが増え、レストランでの食事やスーパーでの買い物などだけでなく、電気代や水道代の支払い、ごみ捨ての毎月の支払いもモバイル決済で行うようになりました。コロナウイルスの感染防止対策になるだけでなく、公共料金の支払いも簡単に、そして時間の節約にもなるので、非常に役立っています」

電子決済種類がすらりと並んでいるイオンの会計デスク

コロナ以前は、公共料金の支払い時に窓口がかなり混み合い、待ち時間も長く、支払いを完了するのに半日もかかったことがあったそう。

その他の現金決済の手続きでも同様に、待ち時間が非常に負担であったため、「コンタクトレスでの支払いが推奨されてからは、その心配がなくなりました。即時にできることに加え、支払った記録がスマホに残る安心感もあります」と電子決済の普及を喜んでいる。

 

<地方の人々>

クン・セアンイーさん(21歳)

トボンクモム州在住。スオン村の小学校に勤務

「最近、私の地元では、カフェやレストランなどでQRコード決済を扱う店が増えてきました。電子決済サービスは、オンラインショッピングでの支払いと、携帯電話へのプリペイドチャージの時によく使います」

地方においても、キャッシュレスでの支払いは、コロナの拡大防止の“対策” として認識され、便利な手段だと理解されているようだが、「田舎で生活をする人の多くは、電子決済のことをよくわかっていません。都市部では一般化しているQRコードもあまり目にする機会がないですし、現金払いがほとんどですね。とはいえ、WingやTrueMoneyといった送金サービスは日常的に村の人も利用しているので、知らない間に電子決済は浸透してきているのかもしれません」

店内の客のテーブルの近くに貼ってある支払いQR コード

年齢や職業によっては、地方在住者でも電子決済を利用しているそうで、「村の中でも、教師や民間企業に勤めている人、中小企業を自営している人など、年齢の若い人数名程度ですが、銀行のモバイルアプリをスマホに入れ、支払い手段として使っています。利用用途は私とそれほど変わらず、携帯電話へのプリペイドチャージやオンラインショッピングが中心ですね」

 

メアス・ヴィチィカーさん(23歳)

タケオ州在住。美容品店経営

約1年前からオンライン販売を始めたヴィチィカーさんが、キャッシュレス決済のサービスを知ったのは5、6年ほど前。日常的に使い始めたのはここ2年ぐらいのことだという。

「今現在、ABA 銀行・ACLEDA 銀行のそれぞれのモバイルアプリ、Wing、TrueMoney などかなり多くの種類の電子決済サービスを使っています。オンライン販売をスタートし、お客様からこれら電子決済サービスでの支払いができないか、といった問い合わせを受け、徐々に各社のサービスを知っていきました」

その中でも、便利でよく使っているのはABA銀行のモバイルアプリで、「相手の口座番号さえわかれば、アプリ内で簡単に送金できる点が気に入っています。また、このモバイルアプリはオンライン販売をしている人の間でも人気が高く、送金時に不具合があった時など、連絡を入れるとすぐに対応してくれるのも安心なんです」

ヴィチィカーさんのローション販売店

購入者が選択する支払い方法で多いのは、WingやTrueMoneyなどの送金サービスで、彼女の顧客の70%ほどを占める。

「徐々に電子決済での支払いを希望するお客様が増えていますが、その多くは地方在住のため、ABA銀行アプリのような銀行口座と紐づいたモバイルアプリは口座開設が面倒なのかまだ広まっておらず、使い方もわからないのかも。そのため、現金ベースで送金できるWingなどを利用する人が圧倒的に多いのだと思います」

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