NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリァップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、オーナーを務めるレストランのはじまりについて。
ひょんなことからレストラン経営へ
そもそも、飲食業に関わったことのない私が、なぜ、シェムリァップでレストラン経営を始めることになったのか・・・。それは2003年にさかのぼります。
当時の州副知事から、公園とそれに付随した小さなレストラン施設の設計・建設を依頼され、設計料の代わりに使用許可をいただいたのです。
それまで、建築設計を行う際には、利用方法などを多角的に検討しながら計画を立て、工事が始まれば毎日現場に通い、思い入れを込めてひとつひとつの建物を造ってきました。
しかし、いったん完成してしまうと、それらは私の手から離れて直接的には関わることができないというジレンマも感じていたところでした。
そんな矢先、小さいながらもレストラン運営ができるという、願ってもいない機会が舞い込んできた、というわけです。
当時のシェムリァップでは、レストランといえばほとんどがローカル経営のものでした。そのような中、欧米人経営の洒落たイタメシ屋がオープンしたと聞けば昼夜問わず通い、安くておいしい本場中国の餃子店ができたと聞けば、毎晩、湯気立ち上る熱熱餃子に舌鼓を打つ、といったことをささやかな楽しみとしていました。
開業から数カ月たち、オーナー以外の料理人が厨房を仕切るようになった際の味の変化にも気づくほどで、その頃が別の店へ目を向ける潮時となっていました。
こうしていくつかのレストランに通い詰め、メニューと味、オーナーとスタッフ、客の動向などをじっくり観察することによって、カンボジアで、限られた予算でレストラン運営をするための方針も見えてきました。
アンコール遺跡観光の合間にほっと一息つけるようなレストラン、カンボジア料理や食文化を堪能できるレストラン、そして何よりも、地元に根付いてカンボジア人自らが持続的に営業し続けられること・・・。
こうして2005年、アンコール遺跡群チケットゲート近くに、ガーデン・カフェれるトランをオープンしたのです。
(この記事は2013年4月に発行されたNyoNuym64号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリァップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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過去の記事
1:マンゴーの季節
2:南の国の大きな森での車座会議
3:遺跡修復プロフェッショナル一家
4:新鮮な出会い
5:村の給食プロジェクト
6:読み書きができない村の若者たち
7:ひょんなことからレストラン経営へ
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