3月3日、カンボジアサッカーの最高峰に位置するメトフォンカンボジアリーグ2018が開幕した。昨年に引き続き、今年も12チームがホーム＆アウェイで対戦し、優勝チームを決める。（上位4チームによるプレーオフ制度は廃止）

昨季J３藤枝MYFCでプレーしたFWチャン・ワタナカはじめ、カンボジア代表の主力4選手が新たにASEAN枠ができたマレーシアへ移籍し、スター選手が不在となった今季のカンボジアリーグ。注目は昨年新設され、2部リーグから昇格してきたヴィサカFCとソルティーロ・アンコールFCの2チーム。

ヴィサカFCは昨季、元カンボジア代表選手などを擁し、圧倒的な戦力で2部リーグを制した。今季はナショナルディフェンスから北朝鮮人選手4人（うち3人はフル代表経験あり）を補強し、台風の目といっていいだろう。
そして、本日行われた開幕戦も電力会社が母体のEDCと対戦し、4－0で大勝を収めた。

また、日本代表・本田圭佑選手(パチューカ/メキシコ)が運営し、見事1年で1部リーグへ紹介したソルティーロ・アンコールFC（本拠地シェムリアップ）も注目。昨日行われた開幕戦は、強豪プノンペン・クラウンFCとアウェイで対戦した。

試合会場はカンボジアNo.1の施設でクラウンの本拠地「RSNスタジアム」　※プノンペンのトゥールコック地区

赤がクラウン、黄色がソルティーロ

こちら、ソルティーロ・アンコールFCのスターティングメンバー。注目はキャプテンDF藤原賢士（後段左端）。過去にU-19日本代表選出経験のある26歳。アルビレックス新潟シンガポールでは4冠を経験し、昨季、カンボジアへ（昨季はナガ・ワールドFC所属）。この日も守備の要として後方からチームを鼓舞し続けていた姿が印象的だった。

対する過去リーグ最多6回の優勝を誇るクラウンは、元V.ファーレン長崎のDF代田敦資はじめ、レソト代表経験のあるSunny Jane、アンダー世代のイングランド代表経験のあるJorrin John（アンティグア・バーブーダ代表でもある）、イラン人 Pouya Hosseiniと今季新加入の外国人4人がスタメンに名を連ねた。また、カンボジア人選手のほとんどがユース出身の20歳以下の構成。（クラウンはカンボジアの中で最も育成部門がしっかりしている）

試合は序盤に得たPKで先制したホームのクラウンが1－0で逃げ切り、勝利。ソルティーロにとっては記念すべきトップリーグでの開幕戦を白星で飾ることができなかったが、強豪相手に一歩も引かずに善戦したので今後の戦いに期待が持てそうだ

この日、試合自体も白熱したが、最も盛り上がっていたのははるばるシェムリアップから応援にやってきたソルティーロのサポーターたち。

関係者に話を聞くとその中心はなんと、隣国のタイ人だという。この応援団は前身のシェムリアップ・アンコールFC時代から存在し、彼らは日本やタイのサッカーの応援などを参考にソルティーロの応援を考案。この日はタイ人、カンボジア人、そして日本人と3カ国のサポーターが応援歌を歌っていた。なお、本拠地シェムリアップにはさらにたくさんのサポーターがいるという。ドイツや日本など世界的にはスタンダードなこの「ウルトラ式」の応援だが、カンボジアにはほとんどこれまでなかった。彼らの存在が今後のカンボジアサッカー界にいい影響を与える、そんな予感がした。

なお、シェムリアップには今季よりシェムリアップに本拠地を移転したアンコールタイガーFC（昨年までカンボジアンタイガーFC）もおり、両チームによるダービーマッチは注目だ。アンコールワット観光にシェムリアップへ行く際に新しい観光としてサッカー観戦はいかがだろう。

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