(日本語) Moi Moi ライフ #30 進化するバイヨン中学校
(日本語) Moi Moi ライフ #30 進化するバイヨン中学校
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)

シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。

今回は、新しい学校教育の発信地として動き出したバイヨン中学校の取り組みについて。

進化するバイヨン中学校

バイヨン中学校では、昨年1月、初めての運動会が開催されました。
それまで体育の授業がなかった中学校ですが、日本の元教員グループから運動会の競技を教わり、それだけでなくバイヨン中学校教員が日本に招聘され、日本で運動会を見学する機会にも恵まれました。

そして、入念な準備と練習の甲斐あって、運動会当日は競技だけでなく運営もすべて生徒が担当し、計17種目の競技がテンポよく進行。
生徒たちは勝ち負けに一喜一憂、どのチームも全力で競技に臨んだ結果、4チームの最終得点は、1位と2位が同点、3位と4位が同点、しかもそれぞれ1点差という僅差に。

地域住民、両親たちは身を乗り出しての応援に盛り上がり、参加者全員が一体感を感じた興奮の1日となりました。

初めての運動会で「目標に向かって皆で協力して挑戦する」喜びや楽しさに目覚めた生徒たちは、その後、サッカーチームを結成。
州のサッカー大会優勝を目指して練習に励んでいます。

また、昨年末には日本からたくさんの中古ミシンが寄贈され、ブラウス制作実習も行われました。
自身の手でブラウスが作れるとは、なんと素晴らしいことでしょう!
参加できた生徒たちは喜びをかみしめながら、無我夢中で制作に取り組んでいました。

野菜栽培や魚の養殖も順調に進んでいます。
カンボジア産ハーブティー用のバタフライピーの栽培もはじめられ、それらの売上金は学校の運営費となっています。

このように、日々、新たなことに挑戦し、成長し、進化し続けるバイヨン中学校ですが、次なる目標は、運動会をシェムリアップの他の学校にも広めて、その素晴らしさ、面白さを伝えていくこと、とのこと。
次の運動会には、州の教育関係者も招待し、競技に参加してもらおうと準備を進めています。

支援を受けるだけではなく、独自に動きだそうとするバイヨン中学校。
今後の展開をワクワクしながら見守っています。

(この記事は2017年4月に発行されたNyoNuym87号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト: 小出 陽子(こいで・ようこ)

一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事

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20:1日1000リエルのアンチエイジング体操
21:近くて遠いアンコール遺跡
22:バイヨン中学校の養殖プロジェクト
23:お菓子をめぐる歴史ロマン
24:どうなる?バイヨン中学校完成式典
25:半年後、道は開けるか?
26:クメールの源流をたどり、スリランカへ
27:初めてのクーラー
28:アンコール・ワットの珍味
29:真夜中のアンコール・ワット
30:進化するバイヨン中学校

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