NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、アンコールワット周辺で売られている変わった食べものについて。
アンコール・ワットの珍味
私の家から車で10分のアンコール・ワット。気分転換に車を走らせ、裏道を散策すると、しばしば珍しい光景に出会います。
今回は、アンコール・ワットで出会ったカンボジアの珍味をご紹介したいと思います。
まずはカンボジア人の大好物“蜂の子”。
高い木の上の蜂の巣の状態を見て食べごろを判断し、煙で炙りながら働き蜂を追い出して巣を確保します。
ロープ1本が頼りの高所での作業の上、蜂との闘いは命がけ。
それだけに確保した蜂の子は貴重品です。バナナの葉で包み、炭火で燻していただきます。
お味はミルキーなカマンベールチーズといったところ。バナナの葉と炭火のほのかな香り、プチッという食感とともに味わいます。
お次は“フルーツこうもり”。
ワット以北の森が寝床であるコウモリたちは、日没後、南から群れをなして戻ってきます。それを狙って、地元民は、夕方になると高い木の枝に網を渡して仕掛けを張るのです。
明け方、網にかかった獲物は1匹1万リエル(約2.5ドル)で販売。皮を剥いで、肉だけにするサービス付き。
臭みがなく肉量も多いこの地元民のご馳走を、私たちはミンチにして雑炊に入れていただきました。
そして驚きの珍味はこちら“チョンボの木の実”。
アンコール・ワットの敷地内に多く生育しているチョンボの木は、実の殻が非常に堅く、そのままでは中の実を食べることができません。
それを地元民はどう食べるかというと…、なんと乾燥した牛の糞に混ざっている実を食べているのです!
つまり、牛に食べられた実は、牛の体の中で一部消化され、殻が柔らかくなるということでしょうか…。
こちらの実、ワットで遊んでいる地元の子ども達の格好のおやつで、殻を棒で叩き割って食べているのを見かけます。
お味はというと、木の実ですからナッツ系。香ばしさが際立っているのは気のせいか…。
世の中には不思議な食べ物がいろいろあるものですね。
(この記事は2017年2月に発行されたNyoNuym85号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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20:1日1000リエルのアンチエイジング体操
21:近くて遠いアンコール遺跡
22:バイヨン中学校の養殖プロジェクト
23:お菓子をめぐる歴史ロマン
24:どうなる?バイヨン中学校完成式典
25:半年後、道は開けるか?
26:クメールの源流をたどり、スリランカへ
27:初めてのクーラー
28:アンコール・ワットの珍味
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