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アンコール見聞録 #9 西参道正面北側のナーガ

NyoNyum Magazine にて連載しているコラム「アンコール見聞録」

上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者として、シェムリアップでアンコール建築に関する研究を行っている三輪悟さんが、アンコール建築の歴史や、遺跡の周りで営まれる生活、カンボジアにまつわるあれこれを綴ります。

今回は、カンボジアのシンボルアンコールワットの玄関について。

西参道正面北側のナーガ

2012 年 10 月 15 日、カンボジアのノロドム・シハヌーク国王が崩御され、その翌年に追悼 1,000リエル紙幣が発行された。

1,000 リエル紙幣とそこに描かれた西参道のナーガ

紙幣の元国王尊顔の左側に遺跡のナーガ頭部が描かれているのだが、これが実はアンコールワット西参道正面北側のナーガであることを知る人は少ない。

拡大した1000リエル紙幣のナーガ

このナーガは国王崩御の約 1 年前に修復を終えたばかりであった。
七つの蛇が頭をもたげる姿のナーガ頭部は、市内のアンコール保存事務所内でひそやかに慎重に修復された。

修復前七つの頭部は全て消失していたのだが、エポキシ樹脂で成形し完全な形に復元したのが今の姿である。

文化遺産の保存修復に際しての今日的な原則論に厳密に従うのであれば、この完全すぎる復元に異を唱える意見が出ることも考えられる。

しかしながら、ここは国旗に描かれるカンボジアの至宝アンコールワットの表玄関である西参道の正面である。

「カッコつけたい」と願うカンボジア人の気持ちを汲み取ることもまた悪くはないと理解したい。

(この記事は2018年10月に発行されたNyoNuym97号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト: 三輪 悟(みわ・さとる)

上智大学アジア人材養成研究センター(シェムリァップ本部)助教
1997年10月よりシェムリァップ在住。専門はアンコール建築学。NyoNyum89号(2017年6月号発行)より遺跡やカンボジア生活にまつわる本コラム『アンコール見聞録』を連載。

 

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1:アンコールトーイに行ったことありますか?
2:「今日はいい天気?」~日本とカンボジア~
3:あれから20年
4:カンボジアは日本の先輩!?
5:アンコールワット西参道前の広場
6:アプサラ機構専門家による熊本視察
7:死んだカエルと干しガエル
8:アンコールワットの矢ワニ
9:西参道正面北側のナーガ