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どうしましたか #49 ざんねんな(?)デング熱ワクチン

NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、ついに完成したデング熱ワクチンの問題点について。

ざんねんな(?)デング熱ワクチン

デング熱は蚊が媒介するウイルス感染症で、熱帯地域ではとてもポピュラーである。

ウイルスは 4 種類。一度かかると免疫ができるので、次に同じ種類のウイルスに感染しても発症しない。
したがって、生涯で最高 4 回までデング熱を発症する可能性がある。

カンボジアでは「子どもの病気」と思われている。たいていの人が子どもの時に 4 回かかるからであろう。
それほどよく流行する病気である。

ワクチン開発は、臨床家や研究者にとって長年の夢であった。そして、フランスの大手製薬会社サノフィパスツールが 20 年以上にわたり15 億ユーロ(約 1,950 億円)を投入して開発した世界初のデング熱ワクチンが、ついに完成した。

デングワクシア(Dengvaxia®) である。

フィリピンは国としてこのワクチンを大規模に導入し、2016 年から73 万人以上に接種してきた。

ところが2017 年 11 月、サノフィパスツール社が「ワクチンによって深刻な症状が出る恐れがある」と発表。
これを受けてフィリピン当局は公的接種を中止。膨らんだ期待が一気にしぼんでしまった。

「過去にデング熱にかかったことがある人には有効」だが、「かかったことがない人が接種して、その後感染すると重症化する可能性がある」とのことである。

日本人のほとんどは、今までにかかったことがないので、日本では普及しないであろう。

またカンボジアやその他の国で導入されたとしても、過去に血液検査でデング熱の確定診断をされた人以外は、ワクチンを接種しない方がよいということになるので、それほども需要はないと思われる。

(この記事は2018年8月に発行されたNyoNuym96号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

ケン・クリニックホームページ

 

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49:ざんねんな(?)デング熱ワクチン