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どうしましたか #61「手洗い習慣の功罪」

カンボジア生活情報誌NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健先生が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、手洗い習慣の功罪について。

 

手洗い習慣の功罪

プノンペンのあちこちの交差点に、超大型の広告用ディスプレイがある。

最近流れているのは「水と石鹸で手を洗いましょう。

最後にアルコール消毒をしましょう」というものだ。

言わずと知れたコロナウイルス感染防止対策である。

これはこれで正しいし、毎年流行するインフルエンザや、しょっちゅう起こる食中毒の予防にも効果的だ。

これを機にカンボジアの人たちにも手を洗う習慣がつけば良いな、と思っていた。

ところが、行く先々の店、銀行、オフィス、飲食店、はては自宅まで、1 日に何十回も手をアルコール消毒するとどうなるか ?

手が乾燥してガサガサに荒れる。

そうなると病原菌が付きやすくなるのである。

そのしくみはこうだ。

皮膚には皮膚常在菌という善玉菌が生育している。

皮膚常在菌の栄養源は、皮脂と、常在菌の一種が皮脂を分解してできる有機酸である。

この皮脂と皮膚常在菌のおかげでバリアーを張ることができ、病原菌(悪玉菌)が生育できない環境を作っている。

一方、皮膚をアルコール消毒すると、皮脂が洗い落とされ、常在菌が破壊される。

少ない回数ならどうということはないが、頻繁に行うと常在菌が極端に減ってしまう。

その結果、皮膚表面には様々な菌が生育できるようになり、その一部は病原菌である。

つまり、手のアルコール消毒でコロナウイルス感染は防げても、やり過ぎると別の感染症を招くことになってしまうのだ。

やはり、過ぎたるは及ばざるがごとし。

何事もほどほどが大事である。

(この記事は2020年8月に発行されたNyoNuym108号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は発行当時の情報です。)

 

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

ケン・クリニックホームページ

 

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