こんにちは。ボンユキです。
実は昨日、カンボジアの英字新聞からインタビューを受けました。
コンポンチュナン焼のプロジェクトについて、とっても興味があり、ぜひ取材させて欲しいということでした。
インタビューを受けて改めて、自分がなぜここに来て、今のような事業を行っているのか。それを自分の口で話すことで、主観的に、そして客観的に考える時間となりました。
インタビュー内容はまた、記事が発行されたらご紹介します。今日はその一部「コンポンチュナンプロジェクトの生い立ち秘話」について考えてみました。
このプロジェクトが2005年に栃木県とコンポンンチュナン州のタイアップ事業(CLAIRという総務省系の機関のスキームを使って)として始まり、その後そのスキームが終わり、栃木県がどうにか予算を工面して高温焼成に耐えうる窯を作る技術移転をし、一旦日本人が引き上げ(それまでのプロジェクトも、年に2回ほど各1週間程度専門家が来るというサイクルでした)、プロジェクト終了となりました。
通訳としてその事業の立ち上げや調査、ワークショップに関わっていた私が数ヶ月後に村を訪れてみると、「先生がいなくなったあと、村のみんなでお金を出し合って100ドル投資して、先生がやっていたのを思い出しながら粘土を作り、釉薬を作り、薪を買って焼いてみたけど、大失敗。あの100ドルがパーになっちゃった。それ以来みんな怖くて投資できず、今はこの窯は普通の素焼きの陶器を作る窯として使っているだけ。私たちに技術がないから、せっかく作ってくれた窯が活かされないでいる。先生に来てもらって、もっと技術を教えてもらいたい」そう訴えてきました。
わかった。私がどうにかする。
何の当てもないまま村を去り、プノンペンに戻り各方面に相談。心の底では最後は私が投資してでもどうにか続けていきたい、とういう覚悟もあったりしました(お金はなかったですが(苦笑))。
その後、日本財団の会長の通訳をしたことがご縁で、常務にこのことを相談するチャンスをいただきました。財団が教育・医療・福祉を中心に活動をしている団体だと知りつつ、私はあえて以下のような話を問いかけました。
国や団体などの「援助」で教育・医療・福祉といった基本インフラが整備される中、一方では貧困であるがために子供を学校に行かせられない、医療を受けさせられないということが起きている。一方、社会福祉は、制度は出来ても国にその財源がなければ運用できない。外国の援助だって永遠に続くものではない。そう考えた時、その国の人々=親がきちんと収入を得て子供を学校・病院に行かせ、地域に産業が興り地域の人々が働く職場が出来る、経済活動が行われて税金が納入され、そのお金が福祉・医療・教育に回る。そうして健やかに育った国民が人財となり、国づくりを支えていく。
こういう構図が回りはじめて、初めて「援助」が活かされるのでは。
そんなことを話しました。
障害者福祉の中でCBR(Community –based Rehabilitation)「地域に根ざした包括的開発」とか、CBID(Community-based Inclusive Development)「地域に根ざした包括的開発」といった言葉があるのを目にしました。もしかしたら、私のやっていることってこういうことなのかなって。
国際協力とか開発とかの勉強をしたわけではないので、私の場合、後付けでそういう理論を見つける感じですが、ソーシャルビジネスとかフェァトレードとか、24年間のカンボジアでそう閃いて、行動して、実感として行き着いたのがそこ。PDCAならぬDCAP型行動パターンです(笑)。
もう一つ、震災後の語り部のお話を聞かせていただいた時に、こんな言葉を耳にしました。
「自助」「共助」「公助」「援助」。
このプロジェクトではまず共助を目指し、自助と公助を促し、その結果援助の恩恵を持続的に受けられる社会を作る。そういう構図となっていくのかもしれません。
そんなことを今回のインタビューを受けて改めて考え、そしてある現実にショックを受けたというか、ちょっと悩みました。なぜなら、こうやって理論の中で定義付けをし始めると、私がどこか「蚊帳の外」にいるような感じになるからです。それは、客観的に考え始めたからでもありますが、根本的にあるもの、それがこの「コンポンチュナン焼」の主体がカンボジアの、チュナンの村の人だから。それに尽きるわけです。
では私は何のためにそれをやってきたのか、やっているのか。
その「そもそも」を解いていかないと、その答えは導き出せないので、追ってそんなことも書いていきたいと思います。今日はこの辺で。
(つづく)
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