2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。久しぶりの登場です♪
No.91 「ビックリ逆転現象」
7 月、8 月に続き、この9 月も日本での研修に行ってきました。前回は水道関係でしたが、今度は電気回路。私にと
っては新しい分野で、しかも全く興味のない(失礼!)技術研修のため通訳もドギマギしましたが、研修に来ている人たちはさすがその分野のプロ。図を見たり実物を見たりすれば何を言わんとしているのかがわかるようで、どうにか3 週間の研修を無事終えて、プノンペンに戻ってきました。
日本とカンボジアを往復していますが、こんなにしょっちゅう日本に行っていたらカンボジアに関するエッセイもネタが底を尽きちゃうのでは? なんて思う方もいるかもしれませんが、日本にいても、毎日カンボジアに関わった生活をしているわけです。
研修は日本全国各地で行われるので、私も研修員と一緒に研修所やホテルに泊まり込み、朝は一緒に出勤し、日中は一緒に勉強し、夕方も一緒に帰宅して、土日もレクリエーションがあれば一緒に同行。ほんとにカンボジア漬けの濃い生活。思えばこれってすごいことよねえって思うのです。
青年海外協力隊員としてカンボジアに赴任したときの2 週間程のホームステイや、プノンペン大学に在学していたときの4 年間は、同じように毎日毎日ホストファミリーやクラスの仲間と生活していましたが、23 年間のカンボジア生活で基本的には一人暮らしをしているし、仕事は日本人がクライアントだし、オフィスではカンボジア人・日本人のスタッフがいるけれど、それぞれの仕事を終えればそれぞれの生活があってこんなに四六時中一緒にいるわけではないし、夜一緒に飲むのは日本人が多いし、そう考えると日本での研修の仕事をしているときのほうが、カンボジア人との接触率(?)が高いということになるのです。
研修のみならず、空いた時間で仕事の悩みとかカンボジアの将来についてとか、じっくり彼らの話を聞いて、カンボジアを理解する。自分のこともいろいろ話して、どうしてカンボジアに来たのか、ここまでどんなことをしてきたのか、今何をしているのかを聞いてもらう。日本に勉強に来ているみんなは、日本の文化や日本人の考え方を聞いてくる。私は彼らから新しい技術用語、新しい分野を学ぶ。
カンボジアにいると日々の業務、生活でなかなかできないこういう交流が日本でじっくりできるという、逆転現象が起きているわけです。
さて、次の逆転現象はどんな分野のどんな人たちと出会えるのか。楽しみです。
〈ボンユキ・プロフィール〉
在カンボジア歴、足掛け23年。翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジコーディネートを手がけることも。仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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