NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」
ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。
今回は、赤ちゃんに有効な食物アレルギー予防について。
子どもの食物アレルギーの原因と予防法
食物アレルギーを持つ子どもは多いが、最近ようやくそのメカニズムがわかってきた。
<原因物質は皮膚から浸入する>
料理や食事をすると、食品のかけらが飛び散る。
これは分子なので目には見えない。
健康な皮膚に何か付いても問題ないが、乾燥や湿疹、つまり傷ついた皮膚に付くと、その食品の分子が皮膚の下に入ってしまう。
乳幼児の皮膚はもともと薄いので、一見健康でも原因物質が侵入しやすい。
そしてアレルギーを起こす Ig-E 抗体が作られる。
一方、口から食べた物に対しては腸管で Ig-G 抗体が作られる。
原因がわかれば予防法も立てられる(以下は主にアレルギーのない 1 才以下の場合。すでにアレルギーがある子については主治医に要相談)。
1. スキンケア:
皮膚のバリアを壊してしまうのでシャンプー、石けんはできるだけ使わない。
どうしてもの時は固形の石けんで軽く洗う。
かさかさした肌は、ワセリンで保湿するのがベストである。
2. 料理や食事の後も手を洗う:
目に見えなくても食品は手に付いている。
その手で子どもを触らないように親も子も手を洗おう。
3. 早くからいろんな物を食べさせる:
乳児は小さいほど腸管の免疫細胞が活発に働く。
その間に食べさせて Ig-G 抗体を作ってしまえば、Ig-E 抗体があっても働かず、アレルギーは起こらない。
4. 食器は手洗いで:
手洗いの方が雑菌が残るので、免疫がつきやすくなる。
食洗機を使う方がアレルギーが多くなる。
湿気が多く、清潔にしすぎることのないカンボジアは、子どもの食物アレルギーを予防するのに最適かもしれない。
(この記事は2018年2月に発行されたNyoNuym93号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。
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36:MEC食(後編)
37:世界三大感染症 その①結核
38:世界三大感染症 その②エイズ
39:世界三大感染症 その③マラリア
40:ビールと血糖値の関係
41:「消化の良い食べ物」とは?
42:インフルエンザ予防は年2回のワクチンで
43:飲むなら「ゼロ」
44:イボはテープで治せる!
45:ジカ熱がカンボジアに!?
46:子どもの食物アレルギーの原因と予防法
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