(日本語) どうしましたか #65「かゆいかゆいトコジラミ」
(日本語) どうしましたか #65「かゆいかゆいトコジラミ」
2021.04.19

カンボジア生活情報誌NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健先生が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、「トコジラミ」についてです。

 

かゆいかゆいトコジラミ

身体のあちこちが痒くて、見ると赤いブツブツができていた、それがしつこく1週間くらい続くという経験をお持ちの方は多いであろう。

「蚊ではなさそうだし、ノミ、ダニ、シラミ、アリのどれかですかね?」と聞かれる。

答えはそのいずれでもなく、『南京虫』である。正式には『トコジラミ』という。

シラミと命名されているが、実はカメムシの一種だ。

『南京虫』の『南京』とは、江戸時代に海外から伝わったものに付けられる名前であった(他に南京錠、南京豆など)。海外から荷物に付いてきたと考えられている。

昭和初期には貿易の盛んであった神戸で流行し「神戸名物南京虫」と言われたが、またたく間に大阪、横浜、東京の下町にも拡がった。

戦争で一時下火になったが、戦後大繁殖して多くの人を悩ませた。

その後殺虫剤の改良により、1970年代には日本でほとんど見られなくなった。

しかし、アジアだけでなく欧米でもグローバルに生育するトコジラミは、海外旅行客の服や荷物に付いてきて、近年の日本でもまた繁殖している。

体長は5mm前後で、血を吸うと2mmくらい伸びる。明るいところを嫌うので、日中は家具や柱の陰に隠れている。

英語名をBed Bugと言い、ベッドの隙間にも潜んでいて、夜間寝ている間に吸血する。

咬まれるとかなり痒いが、特別な薬はなく、治療はステロイド外用剤が主体となる。

熱に弱いので、シーツや服を70℃以上のお湯に浸けるのがおすすめである。

電気をつけて明るくして寝るのもよい。根絶するには専用の駆除剤が必要である。

(この記事は2021年4月に発行されたNyoNuym112号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は発行当時の情報です。)

 

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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52:食あたりに気をつけて!
53:クリニック開業とインタビュー
54:狂犬病ワクチンがない!?
55:熱がないのにデング熱
56:問診不可能なカンボジア人患者(前編)
57:問診不可能なカンボジア人患者(後編)
58:開業10周年を迎えて
59:新型コロナウイルス騒動に思う
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61:手洗い習慣の功罪
62:「with コロナ」でいきましょう♪
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